前日の雨の名残で空を覆っていた低い雲の隙間から、徐々に日差しがもれ始めた5月11日の正午、愛子さまは姫路駅(兵庫)のホームに降り立たれた。3泊4日の学習院女子中等科の修学旅行の初日とあって生徒たちには期待と緊張の表情が浮かんでいる。
初日に向かったのは、昨年大改修を終えたばかりの姫路城(白鷺城)。漆喰が塗り込められ屋根まで真っ白な姿に、デジカメ片手に興味津々な様子の愛子さま。
「いろは順に名付けられた門の中でも、天守閣近くにあり、敵を通さないために160cmほどの低さに設計された『ほの門』を、愛子さまはかがみながら笑顔でくぐられていました」(学習院関係者)
2日目は、瀬戸内海を渡って香川県にある「こんぴらさん」の愛称で親しまれる金刀比羅宮を参拝。本宮までの785段の石段を登られた。
「石段の上にある神札授与所でしか入手できない人気No.1の御守り『幸福の黄色いお守り』(800円)を購入されていました。参道にある讃岐うどんのお店では“うどん打ち体験”もされていましたよ」(前出・学習院関係者)
午後には江戸の風情残る「倉敷美観地区」(岡山)へ。白壁の古い町並みや「桃太郎のからくり博物館」などを見学された。
そして3日目は広島へ。
「修学旅行はあくまで学習の場。入学してから一貫して行われてきた“平和教育”の集大成という位置づけです。毎年、それが広島の平和記念公園。授業や自分で調べた知識をもとに、実際に現地に足を運び、自分の目で見る。今回の旅行の大きな課題の1つが、広島を訪れて何を感じ取るかということでした」(前出・学習院関係者)
爆心地に近い原爆ドーム周辺の一帯が溶けたあの日から70年。供養塔には7万柱の遺骨が眠っている。行く先々で笑顔がこぼれていた生徒たちの様子は一転した。
「愛子さまはガイドの正面に、気をつけの状態で立たれ熱心に解説に耳を傾けられていました。大変神妙な面差しでいらっしゃいました」(宮内庁関係者)
原爆の惨禍を遺品などで伝える平和記念資料館を見学された愛子さまのまなざしは、時間が止まったかのように厳しかったという。
「平和を希求される天皇皇后両陛下の思いを、愛子さまはしっかりと心に置かれ、今回の修学旅行を迎えられました。昨年夏、愛子さまは初めて戦争関連施設である昭和館(東京・千代田区)に皇太子ご夫妻と足を運ばれましたが、修学旅行の出発前にもご両親といろいろとお話しになったといいます」(前出・宮内庁関係者)
あっという間に迎えた最終日の厳島神社(広島)。愛子さまはお友達と6人で青空と瀬戸内海をバックに旅行最後の1枚を撮影されていた。
※女性セブン2016年6月2日号