冬ソナから13年、どえらいブームがきたかと思えば、政治情勢の影響を受けて沈み込まされたり…そんな紆余曲折を経ても、サブカルチャーとして脈々と存在し続ける韓国ドラマ。気になる2016年の現状を韓国エンターテインメント・ナビゲーターの田代親世さんに分析してもらいました。
「今の韓国ドラマのキーワードは『中国』です。以前は日本のドラマのリメークオンリーだったのが、最近は中国ドラマのリメーク、合作、俳優や制作者、コメディアンの中国進出もあるほどです。
中国では吹き替えでやってくれるので、わざわざ中国語をしゃべらなくていいし、台本も作品も事前に検閲を受けなければいけないので、事前制作(放送前にすべて撮影が終わっていること)は俳優にとっての負担が少ないのも大きなメリットです」
また、長年の韓流ファンにはたまらないこんな魅力もあるという。
「かつて私たちが好きになった韓流スターたちが、ここにきて悪役、汚れ役で確実に演技の幅を広げています。たとえば『ヨンパリ』のチョ・ヒョンジェ、『華政』のキム・ジェウォン、キム・レウォンは『パンチ』やイ・ミンホと共演した映画『江南ブルース』でも卑劣な役を好演しました。
皇太子役で日本女性をメロメロにしたチュ・ジフンも、18禁の映画『背徳の王宮』で王の側近を体当たりで演じ、30代の半ばに差し掛かり、役者としての新しい面を出してきています」
とはいえ韓国人には兵役問題があり、特に人気商売の芸能人にとって、それを乗り越えるのは至難の業だ。
「昔ほど芸能人が兵役に行くことを恐れなくなったと感じています。『日本のファンは義理固くて一途に長く応援してくれる』とみなさん一様に言うように、日本人の一途な愛こそが、その理由だと思うんです。ファンとしては応援のしがいがありますよね。
たとえスキャンダルがあっても、日本人ファンの一途さは変わらない。日本人ファンは俳優が何をしようとわりと柔軟に受け入れます。反省して許してくれって言われたら許しちゃう。その愛と寛容さで長いおつきあいができるのだと思います」
※女性セブン2016年6月2日号