世田谷区の閑静な住宅街にある舛添要一・東京都知事(67)の自宅前に、オープンカーの赤いコルベットが止まった。降りてきたスーパーマンのコスプレ姿の人物はスマイル党総裁・マック赤坂氏(67)である。大都市の首長選や国政選挙に出馬しては、政見放送で「10度、20度、30度!」の“スマイルトレーニング”を披露してお馴染みの常連有名泡沫候補(?)だ。
舛添氏の政治資金スキャンダルが発覚した5月中旬以降、赤坂氏は舛添氏への抗議活動に熱を入れているのだが、あいにく自宅前は厳戒態勢で、約20人の警官が車を降りた赤坂氏を瞬く間に取り囲む。その中で、赤坂氏は声を張り上げた。
「舛添君、あなたは東京大学、私は京都大学。大学は違いますが同級生であり、戦友である(注・赤坂氏は舛添氏が当選した2014年都知事選にも出馬)。一言、忠告したい。説明責任を果たしなさい!」
本人は大マジメのようだが、通りすがりの近隣住人は苦笑いを浮かべて去って行く。それを気にする素振りもなく独演会を続ける赤坂氏の横には、
〈スマイル党 税金泥棒〉
と書かれたのぼり。舛添批判のつもりなのだろうが、どうも「スマイル党が税金泥棒をしている」ように読めてしまう……。
赤坂氏の孤独な抗議活動はこの日だけでは終わらなかった。数日後に再び知事宅を訪れた赤坂氏は抗議の手紙を持参し、ポストに投函しようとする。それを私服警官に止められると、彼らにこう語りかけた。
「私が都知事になったら、必ずあなた方の給料を上げます。これから私は天ぷらを食べに行きますが、あなた方も来ますか?」
もちろん赤坂氏が向かった「天ぷら屋」は、舛添氏が政治資金を私的流用して食事をした疑惑の店だ。もともと7月参院選への出馬(東京選挙区)を予定していた赤坂氏。舛添氏が早期辞任に追い込まれれば都知事選と参院選が同じ日程になるが、どうするつもりかと聞くと、
「2つ一緒には出られないの? よし明日、都庁に聞いてみよう」
とのお答え。絶妙なボケかと思いきや、表情は真剣そのものだった。
※週刊ポスト2016年6月3日号