国内

高校を2度退学した塾長が語る 回り道と復活の半生

回り道と復活の半生を語る藤岡克義さん

 広島県福山市にある塾、「フジゼミ」塾長の藤岡克義さん(40才)が自らの経験を基に提言する人生訓。“普通の道”から外れてしまっても再出発できる「再生の希望」が詰まった一冊が、『大切なのは「つまずき 寄り道 回り道」小さな塾「フジゼミ」塾長と生徒たちの昨日、今日、明日』(小学館)だ。

 1975年、広島県に生まれた藤岡さんは両親の勧めもあって私立の中高一貫校に進学したが、進学校に馴染めず同級生とけんかをして1年で退学。地元の中学に転校するも、そこは“やんちゃな子供たち”が集まる学校。たばこやシンナーは身近なものになり、他校の学生とけんかするなど、あっという間に“非行少年”の仲間入りを果たすようになる。

 なんとか高校に進学したが、そこでもまた部活の同級生とけんかし、あばら骨を折る怪我を負わせ退学となってしまう。

「父親から、“もう家には帰ってくるな”と言われました。ぼくは親や学校や社会に不満があったわけじゃないけど、抑圧されていることに息苦しさがあった。そこに対する反抗でしかなかったんです」(藤岡さん)

 有無を言わせない父親の一言で、親類を頼ってひとりで上京し、大人に混じって酒屋の手伝いをすることになる。藤岡さんが15才のときだ。それでもそんな生活は長くは続かない。そのまま働き続けられるとは思えないし、続けたくもない。地元の友人にも会いたい。藤岡さんは約半年の社会経験を終え、地元に帰ることに決めた。

 地元に戻り、働きながら受けたのは“名前を書けば誰でも合格する”といわれた高校だ。合格通知を受け取り、同級生より1年遅れた入学を控えた3月、藤岡さんは交通事故に遭う。

「友人たちと無免許で盗難車を運転していて電柱に衝突しました。みんな無事でしたが、ぼくは右目の視力を失った。治療のため入退院を繰り返し、入学した高校も留年が決まってしまった。留年してまで行きたい高校ではなかったので、退学しました」(藤岡さん)

 2度目の退学――自暴自棄な気持ちもあったろう、ちょっと働いては遊ぶ、そんな生活を繰り返していた。そうしたなかで出会った人から「経営するゲーム喫茶の店長をやってみないか」と持ちかけられた。藤岡さんにとっては天職のように思えたが、不安もあった。

 昼過ぎに起きて夕方から出勤し、朝方家に帰ってくるという生活スタイル。いつか警察に摘発されるかもしれないという不安。生活するには充分な給料を得ながら、同時に考えたのは、“このままでいいのだろうか”ということ――。

 そして、藤岡さんに転機が訪れる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で発言した内容が炎上している元フジテレビアナウンサーでジャーナリストの長野智子氏(事務所HPより)
《「嫌だったら行かない」で炎上》元フジテレビ長野智子氏、一部からは擁護の声も バラエティアナとして活躍後は報道キャスターに転身「女・久米宏」「現場主義で熱心な取材ぶり」との評価
NEWSポストセブン
小笠原諸島の硫黄島をご訪問された天皇皇后両陛下(2025年4月。写真/JMPA)
《31年前との“リンク”》皇后雅子さまが硫黄島をご訪問 お召しの「ネイビー×白」のバイカラーセットアップは美智子さまとよく似た装い 
NEWSポストセブン
元SMAPの中居正広氏(52)に続いて、「とんねるず」石橋貴明(63)もテレビから消えてしまうのか──
《石橋貴明に“下半身露出”報道》中居正広トラブルに顔を隠して「いやあ…ダメダメ…」フジ第三者委が「重大な類似事案」と位置付けた理由
NEWSポストセブン
異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン
中日ドラゴンズのレジェンド・宇野勝氏(右)と富坂聰氏
【特別対談】「もしも“ウーやん”が中日ドラゴンズの監督だったら…」ドラファンならば一度は頭をかすめる考えを、本人・宇野勝にぶつけてみた
NEWSポストセブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《中居氏とも密接関係》「“下半身露出”は石橋貴明」報道でフジ以外にも広がる波紋 正月のテレ朝『スポーツ王』放送は早くもピンチか
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(写真は2019年)
《体調不良で「薬コンプリート!」投稿》広末涼子の不審な動きに「服用中のクスリが影響した可能性は…」専門家が解説
NEWSポストセブン
現役時代とは大違いの状況に(左から元鶴竜、元白鵬/時事通信フォト)
元鶴竜、“先達の親方衆の扱いが丁寧”と協会内の評価が急上昇、一方の元白鵬は部屋閉鎖…モンゴル出身横綱、引退後の逆転劇
週刊ポスト
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
〈不倫騒動後の復帰主演映画の撮影中だった〉広末涼子が事故直前に撮影現場で浴びせていた「罵声」 関係者が証言
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”川崎春花がついに「5週連続欠場」ツアーの広報担当「ブライトナー業務」の去就にも注目集まる「就任インタビュー撮影には不参加」
NEWSポストセブン
広末涼子容疑者(時事通信フォト)と事故現場
広末涼子、「勾留が長引く」可能性 取り調べ中に興奮状態で「自傷ほのめかす発言があった」との情報も 捜査関係者は「釈放でリスクも」と懸念
NEWSポストセブン