節税対策は、親が元気なうちにしたい。だが、財産はあくまで親のもの。親が賛成してくれなければ実現できない。そこで、相続対策に協力してもらうための促し方のポイントを見てみよう。
一つは、自分の意見を押しつけず、親に今後の希望を聞くこと。旅行に行きたい、施設に入りたいなど、今後の生活をどうしたいか親の希望を聞くことが大切。
「自然と、予算はどう準備するのか相談する流れになり、財産の確認につながりやすくなります」(行政書士・竹内豊さん・以下「」内同)
そして、間違っても、上から目線で相続の指図はしないことが重要だ。上から目線で、「この分は生前贈与、保険はこれに入って」などと偉そうに指図するのは絶対にNG。「おれの金をどう使おうが勝手だろう」と言い返されるのがオチ。
さらに、焦りは禁物、無理強いはご法度だ。「早く相続対策してよ。遺言書は書いてあるんでしょうね」などと急かすと、早く死んでほしいのかと親は勘違いしがち。「そんなに早く死なせたいのか」などとけんかになるケースも。
親にとって相続は自分の死を意味し、あからさまに対策を急かされるのはいい気がしないもの。
「相続対策は親の意思次第。親が不安に思うことや心配していることを解消していく過程で、少しずつ話題に出していきましょう。気長に待つ心構えが大切です」
普段の会話に相続の話を織り交ぜることも心がけたい。
「お父さん、お母さん、大切なお話があります。あなたたちの財産のことです」などと話を切り出すと、親は身構えてしまい、対応も頑なになりがち。改まった態度で相続の話を切り出すと、親も身構えてしまう。
「相続でもめている有名人の話などを、世間話として持ちだすのがコツ。相続は大変らしいね、もめるのは嫌だね、と繰り返し意識づけすると、徐々に親も関心を持つようになります」
さらには客観的な姿勢を徹底し、感情的にならないべきである。というのも、いくら相続対策が必要でも、親にその意思がなければ動いてもらえないから。
「感情的になると、聞く耳を持ってくれません。『幸せな相続をするには、元気なうちに準備するのがいいらしいよ』など、客観的に必要性を訴えましょう」
話し合いの場で、感情的になるのは禁物。「元気なうちに準備しておかないと、あとで困るのは私なんだからね」と、自分だけの都合を感情的に訴えても逆効果。
※女性セブン2016年6月2日号