ゴールデンウィーク最終日(5月8日)、春季大阪大会決勝でPL学園野球部は大商大高にサヨナラ勝ち。6月の近畿大会への出場が決まった。ただし、これは春夏7度の全国制覇を誇る硬式野球部ではなく、軟式の話だ。学園の母体であるパーフェクトリバティー教団(PL教団)の元教団教師が証言する。
「全国から選手が集まっていた硬式とは違い、軟式に入部するのは小学校や中学から学園に通う熱心な信者の生徒たちです。硬式は一学年20人前後の人数制限があったため、硬式に入れない選手の受け皿となっていた。夏の甲子園のあとに兵庫・明石公園第1野球場で行なわれる全国大会の常連です」
現役生によると軟式部員は20人ほどで、硬式の練習についていけずに転部した選手も2人いるという。
一方、2014年秋に部員募集停止を発表した硬式野球部員は3年生のみ12人。昨秋・今春の大阪大会は初戦敗退し、7月の夏の県大会を最後に休部となることが決まっている。
PL学園の敷地内には、床面積約1300平方メートルの巨大な屋根付きスポーツ施設が4月に完成し、まもなく利用開始となる。床面は土でブルペンもある。他の部活動も使用することになっているが、まるで野球専用の屋内施設である。この夏で硬式野球部の休部が決定しているのに、どうして立派な練習場を建てるのか解せなかったが、信仰心の厚い軟式野球部員が主に利用すると考えれば納得がいく。
かつて甲子園を席巻した硬式野球部と同じ帽子、同じユニフォームを身につけて戦う軟式野球部に“PL野球の歴史”は引き継がれていくのだろう。
■取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)
※週刊ポスト2016年6月3日号