表紙モデルはホステスではない(『指名される技術』より)
昨年9月に発売された『指名される技術』(ゴマブックス刊)の表紙の女性が、「あの可愛い子は誰!?」と話題になり、電子版を合わせて10万部突破のヒットに一役買っているという。
黒のセクシーなワンピースにバッチリメイク、そしてそのタイトルから、一見すると六本木の売れっ子キャバ嬢が書いた本なのかと思うが、実際は「ホリエモン」こと堀江貴文氏とゲームクリエーターの斎藤由多加氏共著の“男臭い”仕事論だ。
堀江氏と斎藤氏を合わせた架空の人物「堀藤」が六本木のホステスに接客され、客をリピートさせるその技術から仕事術を学ぶというもの。
表紙のインパクトからヒットした書籍といえば、100万部を超えるベストセラーとなった『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(KADOKAWA刊)が記憶に新しい。
『ビリギャル』の表紙モデルは実際の主人公ではなく人気モデルの石川恋だったが、『指名される技術』の表紙も、実はホステスではない。モデルでキックボクサーの野形仁美だ。表紙に起用された経緯を本人がこう話す。
「あの写真は広告などに使われるイメージ写真として撮影していただいたものです。どんな用途で使われるのか知らされないので、友人に指摘されるまであの本の表紙になっているとは気付きませんでした。
『夜の仕事をしてたんだ』と誤解されましたが、堀江さんの本は売れるし反響も大きいので両親にも喜ばれ、親孝行になりました」
偶然にも、野形とホリエモンは既知の仲だった。野形は希望者を募ってその人のお尻を蹴る「ケツキック」という動画をYouTubeにアップしており、出版の3か月前にキックした相手が堀江氏だったのだ。出版元であるゴマブックスの担当編集者はこういう。
「堀江さんや斎藤さんと相談して、本のイメージに合う写真を選びました。堀江さんもその時は野形さんだと気づかず、後で聞いて驚いていました」
何気ない「指名」が偶然を生み、ヒットにつながった。
※週刊ポスト2016年6月3日号