さて、そんなアテにならないJC08モード燃費だが、国交省と自動車業界は今、新しい燃費モードへの切り替えを準備中だ。それはWLTPという世界統一基準を目指した試験法で、計測器順はJC08モードより厳しい。とくにハイブリッドカーと軽自動車は、JC08モード燃費との差が大きくなりやすいという研究結果も出ている。
このモード導入についても、自動車メーカー各社は少しでも自社に有利なレギュレーションにしようと、さまざまな工作を仕掛けている。
とくにWLTPのなかで最高速度100km/hを超える一番厳しいサイクルについては、日本では不要ということで、それを省いた形にしようとしている。しかし、最近新東名高速など高速道路の一部区間で段階的に120km/hに速度規制を緩和するという方針が打ち出されたことを考えると、そのサイクルも当然入れてしかるべきである。
自動車メーカーは誰がやっているかわかったものではない不正を巡って内輪もめをする前に、燃費表示についてもっとフェアになる必要がある。
また、行政側も現在のアンフェアなJC08モード燃費に基づいたエコカー減税を根本から見直すなど、国民に対してもっと誠実な態度を見せるべきだ。でなければ、消費者の心はますますクルマという商品や自動車業界から離れてしまうだろう。