ライフ

卑劣な義父のせいで10年間別離の母娘関係を修復した通帳

 人それぞれ様々な家族の事情を抱えて生きている──。33才の主婦Aさんが、母との確執、そして関係修復を告白する。

 * * *
 物心ついた頃から、私は母と2人暮らしで、父を知りません。母は私を育てるため夜の仕事をしていて、仕方がないとわかっていても、さびしくてたまりませんでした。小学生の頃は、夜中に目が覚めると、泣きながら母を捜して外に出たこともあります。

 そんなことが続いたからでしょうか。母は夜の仕事を辞めてくれました。家にいることが増えたのですが、やがて次々と男を連れ込むようになりました。

 私が高校に上がった頃、母が「再婚したい」と言い出しました。母が選んだのは、私の体をジロジロと舐めまわすように見る男。もちろん猛反対したのですが聞いてもらえませんでした。

 ある日、母が買い物に出た隙に、義父は私の部屋に入ってきたかと思うと、いきなり抱きついてきたのです。慌てて逃げ出すと、ちょうど帰宅した母がいました。私は泣きながら、すべてを話しました。しかし、追いかけてきた義父は、「制服のスカートが短いから注意しただけ」と言い訳し、母はその言葉を受けて、「お父さんの言うことを聞かなきゃダメでしょ!」と、あろうことか私を叱りつけたのです。ショックでした。母は私の味方ではなかった──。

 私はアルバイトでお金を貯め、家を出る準備をしました。そして高校卒業後すぐ、母と義父が不在の日を見計らって、家を出ました。

 それから10年、実家に帰ったことはありませんでした。その間に結婚し、私も母親となりました。育児の大変さを実感するたび、母への思いが募り、次第に会いたくなっていきました。

 そしてある日、夫の後押しもあり、思い切って実家を訪れました。義父とは離婚したようで表札が変わっていました。チャイムを押すと、ドアが開きました。初老の母は、一瞬目を見開き、私の名を呼ぶと、涙を流しながら抱きしめてくれました。まるで壊れたレコードのように何度も謝り続けながら…。

 帰り際、母から私名義の通帳を渡されました。それは母が再婚前から、私の進学用にと、コツコツ貯めてくれていたお金でした。

 今思い返しても、別離は仕方がなかった。けれど、母との関係を修復できたことが、うれしくてしかたありません。

※女性セブン2016年6月2日号

関連記事

トピックス

三笠宮妃百合子さまの「斂葬の儀」に参列された愛子さま(東京・文京区。撮影/JMPA)
愛子さま、佳子さま、悠仁さま 三笠宮妃百合子さまの「斂葬の儀」で最後のお別れ 悠仁さまは高校を休んで参列
女性セブン
大塚寧々と田辺誠一
《スマホの暗証番号も一緒》大塚寧々と田辺誠一「スピード再婚」から22年「いい夫婦」の愛だけがあふれた日常
NEWSポストセブン
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
《沈黙続ける折田楓社長》「朝、PR会社の方から直接連絡がありました」兵庫県HPから“同社記事が削除された理由”
NEWSポストセブン
犬猿の仲といわれていた織田裕二と柳葉敏郎
織田裕二『踊る』スピンオフ『室井慎次』にこっそり出演 「柳葉さんがやるなら…」と前向きに検討、確執は昔の話 本編再始動への期待も高まる
女性セブン
谷川俊太郎さん(右)への思いを語った中島みゆき(左)(事務所の公式HPより、右は共同通信社)
中島みゆきが独占告白「本当に星になっちゃった。でも星は消えないですから」言葉の師と尊敬する谷川俊太郎さんとの別れ、多大な影響を受け大学の卒論テーマにも選択
女性セブン
ともに二世落語家という共通点も(左から三遊亭王楽、林家正蔵)
【過去に確執も手打ちか】三遊亭王楽「七代目円楽襲名披露興行」に父・好楽の“因縁の相手”林家正蔵が出演で落語界も騒然
週刊ポスト
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
《慶應SFC時代の “一軍女子”素顔》折田楓氏がPR会社を創業するに至った背景「女子アナ友人とプリクラ撮影」「マスコミ志望だった」
NEWSポストセブン
SNS上だけでなく、実生活でも在日クルド人への排斥デモやヘイトスピーチが目立つようになっている(店舗SNSより)
「日本人は大好きだけど、もう限界です…」『ハッピーケバブ』在日クルド人の社長が悲鳴、親日感情をへし折る\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"ヘイト行為\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"の実態「理由もないのにパトカーを呼ばれて…」「脅迫めいた電話が100回以上」
NEWSポストセブン
騒動の中心になったイギリス人女性(SNSより)
《次は高校の卒業旅行に突撃》「1年間で600人と寝た」オーストラリア人女性(26)が“強制送還”された後にぶちあげた新計画に騒然
NEWSポストセブン
折田氏(本人のinstagramより)と斎藤知事(時事通信)
《折田楓社長のPR会社》「コンペで5年連続優勝」の広島市は「絶対に出来レースではありません」と回答 斎藤知事の仕事だけ「ボランティア」に高まる違和感
NEWSポストセブン
中井貴一
中井貴一、好調『ザ・トラベルナース』の相棒・岡田将生の結婚に手を叩いて大喜び、プライベートでゴルフに行くほどの仲の良さ 撮影時には適度な緊張感も
女性セブン
東北楽天イーグルスを退団することを電撃発表し
《楽天退団・田中将大の移籍先を握る》沈黙の年上妻・里田まいの本心「数年前から東京に拠点」自身のブランドも立ち上げ
NEWSポストセブン