安倍晋三首相が衆参同日選に踏み切り、政治資金スキャンダルがやまない舛添要一・東京都知事が辞任した場合、東京都知事選挙とあわせて史上初のトリプル選挙になる。
鹿児島県は条例で参院選と県知事選を同じ日に施行することを決めており、衆院選が重なればトリプル選が確定。そして本誌・週刊ポスト前号で報じたように、東京都でも舛添都知事が6月1日の定例議会までに辞任を表明すればトリプル選挙が濃厚になる。
その舛添氏には高額外遊費や政治資金を使った家族旅行に加えて、新たにヤフーオークションで大量の絵画を落札し、政治資金で購入していたのではないかという疑惑まで浮上、いよいよ火だるまになってきた。5月20日の定例会見でも、厳しい追及が寄せられ、疑惑は晴らされていないままだ。
自民党からは「猛省が必要だ」(谷垣禎一・幹事長)、「舛添氏は他人に厳しく自分に甘いところがあるのではないか」(下村博文・総裁特別補佐)と批判が相次ぎ、官邸は「舛添が今月中に辞任すればトリプル選挙の準備をしなければならない」(安倍側近)と具体的な後任探しにとりかかった。
次の都知事候補として名前があがっているのは、舛添批判の急先鋒で首相側近の下村氏をはじめ、石原伸晃・経済財政相、そして小池百合子・元環境相ら東京選出の都連幹部たちだ。安倍首相や菅儀偉官房長官の“意中の人”は前号既報の通り橋下徹・前大阪市長とされるが、都連側は「橋下さんは大阪の人。都知事候補はまず東京選出の政治家から探すべきだ」というムードで、旧維新関係者からは元宮崎県知事・東国原英夫氏の擁立論もある。
一方の民進党側は、自民党が担いだ都知事が2人連続で金銭スキャンダルで辞任すれば、出直し都知事選は野党が取るチャンス。「参加賞なら海江田万里、勝ちに行くなら蓮舫で勝負」(同党参院議員)という。
そうなると選挙戦は参院選単独の場合より俄然盛り上がるはずだ。
※週刊ポスト2016年6月3日号