芸能

大野智 「怪物くん」と重なる『世界一難しい恋』での好演

大野智主演で話題のドラマ『世界一難しい恋』(公式HPより)

 嵐の大野智(35才)主演で好調のドラマ『世界一難しい恋』(日本テレビ系)。このドラマで、ちょっと気難しくて不器用なホテルチェーン社長・鮫島を演じる大野に注目が集まっている。ハマり役となった大野の演技について、コラムニストのペリー荻野さんが解説する。

 * * *
 そんなわけでじわじわと恋愛が進行しつつある『世界一難しい恋』。第六話折り返しの時点で、やっと電話で会話できる間柄って。じわじわにもほどがある。中学生か!小学生か!などと言いつつ、『あまちゃん』の杉本哲太、『まれ』の清水富美加、『マッサン』の小池栄子、『あさが来た』の波瑠と三宅弘城とロイヤルストレートフラシュのごとく揃った朝ドラの人気者たちがドラマを盛り上げていることもあって、ハマっている人も多いと思う。

 主人公の鮫島零治(大野智)は、「世界一のホテルを作る」が口癖の青年社長。とにかくビジネスには厳しく、ミスした従業員を即刻クビにするような独裁的経営者。やり手の大金持ちで、客を満足させる能力は最高だが、恋愛能力はゼロという男である。その鮫島が、パリの五つ星ホテルで勤めた経験もある中途入社の社員柴山美咲(波瑠)に一目ぼれして、おっかなびっくり接近、社内恋愛を秘密にしながらのドタバタが展開するラブコメだ。おっかなびっくり。久しぶりに使った言葉だが、鮫島にはぴったりなだと思う。
 
 面白いのが、鮫島の言語感覚。なにしろ、美咲に告白しようと考えついた言葉が「俺はキノコが大好きだ。オマエのこともな」。

 キノコと女の子を並べたうえ、キノコのほうが先にくる。キノコの方が勝ってる感じがするところがいい。
 
 そして、なんとか相手にイエスの答えをもらった瞬間の返答が「交際していただけるということか」。

 あれ?社長、これって、ていねいなのかていねいじゃないのかわかんないんですけど? 美咲がデートの待ち合わせ時間をメールで知らせてくると、うっかり「うむ。」と返信してしまいそうになる鮫島。せっかくうまくいきかけても「当然だ。最初から俺の言う通りにしとけばいいんだ」とか「ご飯をごちそうしてやったのに」など、美咲に対して、つい俺様発言が出てしまう。その仲直りのきっかけが「おやすみなさい」を反対に読んで架空の作家「いさなみすやお」とその妻の物語を美咲と語り合うという発想には、びっくりさせられた。これは脚本のなせる業だが、こんな言語がしっくりくるところに俳優大野智の味がある。そこで思い出すのは、大野智の当たり役『怪物くん』だ。

 怪物ランドのわがまま王子をアイドルの大野智が演じるというのは、当初、びっくりだったが、始まってみれば実にぴったり。たいていぶすっとした顔で、他者には厳しく、自分には甘々。言動の基本は命令形。相手の気持ちに後から気づいて、それでもなかなか素直になれなくて、やっと一言本音をポロリとつぶやく怪物くん。これは鮫島ととてもよく似ている。

『世界一難しい恋』が始まったとき、『怪物くん』『死神くん』から久しぶりの人間役、と言われたものだが、人間だろうと人間以外だろうと「ぶすっとした王子様」は、大野智のりっぱな芸風といってもいい。
 
 それにしても、ふと気になったのは、タイトルで「世界一難しい」と銘打っているが、鮫島と美咲の恋愛そのものは、そんなに難しい感じでもないこと。7話では、部屋にお泊りしながらも進展がないという意外な流れだが、「俺が世界一難しいって言ってるんだから、難しいんだよ!」。鮫島の声が聞こえるようではある。

関連記事

トピックス

都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で発言した内容が炎上している元フジテレビアナウンサーでジャーナリストの長野智子氏(事務所HPより)
《「嫌だったら行かない」で炎上》元フジテレビ長野智子氏、一部からは擁護の声も バラエティアナとして活躍後は報道キャスターに転身「女・久米宏」「現場主義で熱心な取材ぶり」との評価
NEWSポストセブン
小笠原諸島の硫黄島をご訪問された天皇皇后両陛下(2025年4月。写真/JMPA)
《31年前との“リンク”》皇后雅子さまが硫黄島をご訪問 お召しの「ネイビー×白」のバイカラーセットアップは美智子さまとよく似た装い 
NEWSポストセブン
元SMAPの中居正広氏(52)に続いて、「とんねるず」石橋貴明(63)もテレビから消えてしまうのか──
《石橋貴明に“下半身露出”報道》中居正広トラブルに顔を隠して「いやあ…ダメダメ…」フジ第三者委が「重大な類似事案」と位置付けた理由
NEWSポストセブン
異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン
中日ドラゴンズのレジェンド・宇野勝氏(右)と富坂聰氏
【特別対談】「もしも“ウーやん”が中日ドラゴンズの監督だったら…」ドラファンならば一度は頭をかすめる考えを、本人・宇野勝にぶつけてみた
NEWSポストセブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《中居氏とも密接関係》「“下半身露出”は石橋貴明」報道でフジ以外にも広がる波紋 正月のテレ朝『スポーツ王』放送は早くもピンチか
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(写真は2019年)
《体調不良で「薬コンプリート!」投稿》広末涼子の不審な動きに「服用中のクスリが影響した可能性は…」専門家が解説
NEWSポストセブン
現役時代とは大違いの状況に(左から元鶴竜、元白鵬/時事通信フォト)
元鶴竜、“先達の親方衆の扱いが丁寧”と協会内の評価が急上昇、一方の元白鵬は部屋閉鎖…モンゴル出身横綱、引退後の逆転劇
週刊ポスト
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
〈不倫騒動後の復帰主演映画の撮影中だった〉広末涼子が事故直前に撮影現場で浴びせていた「罵声」 関係者が証言
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”川崎春花がついに「5週連続欠場」ツアーの広報担当「ブライトナー業務」の去就にも注目集まる「就任インタビュー撮影には不参加」
NEWSポストセブン
広末涼子容疑者(時事通信フォト)と事故現場
広末涼子、「勾留が長引く」可能性 取り調べ中に興奮状態で「自傷ほのめかす発言があった」との情報も 捜査関係者は「釈放でリスクも」と懸念
NEWSポストセブン