衆参ダブル選挙どころか、舛添要一都知事の金銭スキャンダルからの辞任も取り沙汰され、東京都では7月10日の都知事選とのトリプル選挙が実施される可能性も出てきた。その場合、東京都千代田区の一部のように投票箱が3つしか置けない投票所では、投票用紙が4枚以上になれば、選挙区と比例代表を同じ箱に投票する事態にもなる。では、有権者がどの箱に札を入れればいいのか迷って衆院の投票用紙を参院の投票箱に入れたら無効になるのか? そうした投票ミスの続出も予想される。
「投票箱が違っても、投票用紙を間違えなければ無効票にはなりません。ちゃんと集計されます」(世田谷区選管)
しかし、そもそもの投票用紙数が増えるため、開票作業が大変になる。作業量が2倍や3倍になるため、人員を増やしても「即日開票」は不可能で、2日がかりの開票作業になりそうだ。
総務省選挙部管理課の説明である。
「衆参同日選になった場合のことは何も決まっていません。ただし、1986年のダブル選挙のときは翌日開票にして、まず衆議院、続いて参院の選挙区、同比例区、それから最高裁の国民審査の順に開票作業をするように各選管に通知を出した」
そうなると、衆院の開票が終わった後、間違って参院や国民審査の投票箱に投じられた衆院の投票用紙が見つかれば得票を修正しなければならない。最終得票はすべての選挙の開票が終わるまで確定しない。
テレビの選挙特番も2日がかりで、「当確」が出るのは2日後の7月12日というケースも起こりうる。衆院には惜敗率の計算があるから、「当確取り消し」も続出しかねない。
まさに有権者も選管もメディアも「トリプル選パニック」にキリキリ舞いさせられそうなのだ。
※週刊ポスト2016年6月3日号