車をエントランスに預けると、係員が駐車場まで回送。正面玄関から自室までは4重の扉で守られ、24時間体制の有人警備は当たり前。フロントに行けば、ハイヤー、クリーニング、ベビーシッター、郵便配送、あらゆることを手配してくれる──。至れり尽くせりのサービスとセキュリティーを誇る都心の超高級マンションを舞台に、前代未聞の事件が起きた。
5月22日、同マンションに住む福山雅治(47才)・吹石一恵(33才)夫妻の部屋に侵入したとして、都内在住の女性、宮本万里子容疑者(48才)が逮捕された。
同6日午後8時、宮本容疑者が侵入した数分後に吹石が帰宅。玄関の鍵がかかっていなかったため、吹石は夫が先に帰宅しているものと思い中に入ったが、部屋の電気がついていない。不審に思い、「帰ってないの?」と声を出すと、室内から猛然と宮本容疑者が飛び出してきたという。
「すいません、すいません! 間違えました!」などと言いながら逃走した彼女だが、マンション内の防犯カメラ映像からあえなく御用。「ギターが好きで、福山さんのギターが見たかった」と供述している彼女だが、難攻不落の超高級マンションにどうやって侵入したのか──。
後日、宮本容疑者の職業が明かされ、謎が解けた。彼女は同マンションのコンシェルジュだった。コンシェルジュとはフランス語で「管理人」を意味し、エントランスで宅配便の受け取りや来訪者の対応、車のガソリン給油や時には警備まで担当する。
「宮本容疑者は昨年夏頃よりコンシェルジュとして働いていた。福山さんは管理会社に合鍵を1本預けており、コンシェルジュはこれを持ち出すことができたそうです。
犯行当日も彼女は夜8時までシフトが入っており、終業後、福山さん、吹石さん双方が外出したのを確認してから侵入しています。その際、私服に着替え、帽子にコートという変装までしている。あまりの用意周到さに、これまで何度も侵入していたんじゃないかと余罪も追及されています」(全国紙記者)
宮本容疑者は逃走後に合鍵を返し、逮捕されるまでの2週間あまり、何食わぬ顔でコンシェルジュを続けていたというのだから恐ろしい。
「しかも、彼女の自宅は福山さんのマンションの目と鼻の先でした。徒歩1分もかからない。元来、筋金入りの“福山ストーカー”で、コンシェルジュになったこと自体、福山さんの部屋に入るためだったんじゃないかともいわれています」(別の全国紙記者)
住宅ジャーナリストの榊淳司氏が語る。
「分譲マンションの場合、管理室には全住戸の合鍵がある。ただ、これらは連絡が取れないとか、室内で亡くなっている可能性があるといった非常時以外は使用できず、極めて厳重に管理されているものなんです。コンシェルジュが安易に手にできるものではなく、それだけに今回の事件は怖い。
鍵の管理はマンションと住人の信頼関係で成り立っている部分なのに、その根底が揺らいだわけです。第三者が鍵を預かる以上、不法侵入を100%防ぐことはできない。考えたくない事実を改めて突きつけられた気がします」
過去にもDAIGO(38才)や中野美奈子(36才)、今田耕司(50才)ら数多の芸能人がストーカーに自宅侵入されている。
5月21日には、シンガーソングライターとして活動していた冨田真由さん(20才)が、東京・小金井市のライブ会場でストーカーと化したファンに全身20箇所以上をメッタ刺しにされる痛ましい事件も起きた。警察庁の統計によれば、2015年度のストーカー事件の総数は2万1968件。10年前の2倍の数である。
※女性セブン2016年6月9・16日号