戦後間もない1946年4月22日、福岡の地方紙『夕刊フクニチ』で『サザエさん』は始まった。高度経済成長や女性の社会進出など時代を反映しながら毎日、読者に笑顔を届けてきた『ササエさん』も、今年、生誕70年を迎える。
約6500話──1946年から1974年まで長谷川町子さん(享年72)は、『夕刊フクニチ』や『朝日新聞』で4コマ漫画『サザエさん』を描き続けた。
原作生誕70年を迎えた今年、長谷川さんの発掘イラストなどを集めた『長谷川町子の漫畫大會~町子・戦中の仕事~』(小学館)の出版など、記念イベントが続々と開かれている。
『サザエさん』といえば、登場人物全員が海産物にちなんだ名前で知られている。長谷川町子美術館学芸員の相澤弘子さんがその理由を明かす。
「町子は3人姉妹で、病気がちの妹の健康のためによく海岸を一緒に散歩していました。それで名前が全て海産物になったんです」
それから、長谷川さんは『サザエさん』に時代のトレンドを入れながら連載を続けた。
「家のテーブルはちゃぶ台だったんですけど、ダイニングテーブルになりました。冷蔵庫も氷から電気になりました。ファッションも流行を追っています。1970年代になると公害問題も取り上げています。新聞連載の漫画だからこそ、時代を入れなければいけないと考えていたのだと思います」(相澤さん)
※女性セブン2016年6月9・16日号