あなたは「食パンの袋を閉じるアレ」や「新品の靴下を1足に留めているアレ」の名前をご存じだろうか? 「眠っている時にビクッとする」現象、「ゝ」という文字、「カーネル・サンダース」の本名など、存在は知っているのに意外と知らない「アレ」の名前をまとめて紹介しよう。(2016年5月28日更新)
「あの物体」編
見たことがあるけれど、名前が出てこない。そんな「アレ」の名前と由来を紹介しよう。
食パンの袋を閉じるアレ
【バッグクロージャー】 身近にあるのに名前が知られていないものの代表格に「食パンの袋を閉じるアレ」がある。その名前は「バッグクロージャー」。国内ではクイック・ロック・ジャパンのみで製造され、日本中に流通するパンの袋の口を閉じている。
宅配ピザの真ん中に刺さっている、プラスチック製のアレ
【ボックスサポート】 宅配時、箱に入れたピザを何枚も重ねて運ぶ必要があるため、箱が潰れないようにフタを支えている。同商品を扱うトーエイ工業は、ある宅配ピザチェーンに対して1個数円のボックスサポートを月に1万個、年間10万~20万個程度を納品しているという。
刺身などの下に敷かれているアレ
【ドラキュラマット】 1984年に食品包装資材を扱う三和コーポレーションが、自社製吸水紙を“ドラキュラ=血を吸う”という発想で「ドラキュラマット」と命名。一般名称は「ドリップ吸水シート」だが、こちらのほうが通じやすい。抗菌フィルムの層と保水するパルプ層の二重構造になっている。
スーパーなどにある購入した商品を袋詰めする台
【サッカー台】 英語の「sack」(サック、袋詰めする)に由来する。作荷台(さっかだい)とあてられることも。英国で袋詰めする店員を「サッカー」と呼ぶことが由来だといわれているが、欧米のスーパーにはサッカー台は存在しない。
理容店前でくるくる回るトリコロールのアレ
【サインポール】 諸説あるが、中世ヨーロッパで理容と外科治療が同じ場所で行なわれていた際の治療法「瀉血(しゃけつ)」によるという説が有力。当時は「体の悪い部分には悪い血が集まる」という考え方があり、血を抜き取っていた。その際に使った赤い棒に包帯が巻き付いた模様が原型とされる。その後、理容師と外科医を分けた際に、現在の赤白青になったといわれている。
新品の靴下を1足に留めているアレ
【ソクパス】 1948~49年頃の米国では「パッチャー」と呼ばれていたが、拡げた形がコンパスと似ているため日本では「ソックス+コンパス」でソクパスと呼ばれるように。日本で最初に使用したのは靴下などの企画製造販売を行なうナイガイ。同社では約8年前にアルミ製から紙製に変更、アルミ製は流通量が減少傾向にある。
商店や金融機関などでお金を乗せるアレ
【カルトン】 厚紙でできた箱を意味するフランス語「carton」から。タバコなどをひとまとめにしている箱を「カートン」と呼ぶことと語源は同じ。プラスチック製、革製などがある。「キャッシュトレー」や「会計盆」とも。
波止場のシーンで片足を乗せているアレ
【ボラード】 船を木の幹(bole、ボール)に括り付けていたことが語源。ビットとも。「曲がったタイプを『ボラード』、まっすぐなタイプを『ビット』と呼び分ける人もいるが、呼び方の流儀はさまざま。どちらで呼んでも間違いではないとされています」(海上保安庁海洋情報部)
学校の体育館の壁にあった、あの“謎の大きな梯子”
【肋木】 学校の体育館の壁にあった、あの“謎の大きな梯子”。肋骨のように木の棒が並べられていることから「肋木(ろくぼく)」という名前がある。これは「スウェーデン体操」で用いられるれっきとした運動器具だ。
「あの現象」編
多くの人が経験したことがあると思うが、その正式名称が何なのかは知らない「あの現象」の名前に迫る。
「絶対にやらないでください」と禁止されるとやりたくなる
【カリギュラ効果】 行動心理学の専門用語。由来はローマ帝国の皇帝カリグラをモデルにした1980年の映画『カリギュラ』。過激な内容だったため一部で公開禁止になったが、それがかえって関心を呼んだ。
眠っている時にビクッとする
【ジャーキング】 眠っている時、高い所から落ちたような感覚で身体がビクッと痙攣する。眠りの浅いレム睡眠期に起きることが多い。犬や猫といった動物にも起きる。
時が過ぎる感覚は年齢を重ねるとなぜか早く感じるようになる
【ジャネの法則】 19世紀の心理学者、ピエール・ジャネが「時間の心理的な長さは年齢に反比例する」という説として提唱した。「5歳の人の1年は人生の5分の1だが、50歳の人の1年はわずか50分の1で、10倍もの差がある」。つまり年を取ると生きてきた年数によって1年の長さの比率が小さくなり、どんどん時間が早く感じるということ。
書店にいると便意を催す
【青木まりこ現象】 「1985年、『本の雑誌』40号に青木まりこさんという読者から〈書店に行くと便意がする〉という投稿が来た。それを当時編集長だった椎名誠氏が面白がり、翌号で〈いま書店界を震撼させる『青木まりこ現象』の謎と真実を追う!!〉という特集を組んだのが由来です」(『本の雑誌』発行人の浜本茂氏)
「あの記号」編
スマホやパソコンで文章を打つ機会が増えたが、意外と知らないのが「記号」の名前だ。しばしば見かける記号の名前とその由来を紹介しよう。
『&』
【アンパサンド】 (ampersand)という言葉自体が「&記号はandを意味する(& per se and)」という意味になっている。英語の「and」に相当するラテン語の「et」がくっついてできたものといわれる。
『#』『♯』
【『#』井桁・『♯』シャープ】 「井桁」は番号記号で英語の「number」と同じ意味。一方の「シャープ」は音楽記号。表記はシャープの横線が右肩上がり。電話の自動音声で「最後にシャープを押してください」という案内があるが、電話機にあるのは厳密にいうと井桁である。
『ゝ』
【一の字点】 「学問のすゝめ」のように、1文字繰り返す時に使う。種類があり、ひらがなには「ゝ」「ゞ」を、カタカナには「ヽ」「ヾ」を使用する(脇にある点は濁音を意味する)。
『@』
【「コマーシャルアット」「アットサイン」】 「アットマーク」として浸透している「@」にも正式名称がある。世界的に統一されたコンピュータ用の文字コードであるユニコードでは「コマーシャルアット(商売のアット)」という名前がついている。元々は商用記号で商品の単価を示す記号として「りんご@¥150」のように使われていた。電子メールが登場すると、自分の所属を表わす部分(ドメイン=@以降の部分)に英単語「at」の意味で用いられるようになった。英語では「at sign」(アットサイン)とも呼ばれる。
「あの人の本名」編
誰でも知っている人物だが、「実は本名が違う」という人物は少なくない。知っているつもりで実は知らない「あの人の本名」をチェックしよう。
【西郷隆盛】
【西郷隆永】 明治になり西郷の名前が新政府に登録されるとき、本人が不在だったため、同志の吉井友実が届け出た。しかし、彼の幼名である「吉之助」しか思い出せなかった。やっと思い出して届け出た名前が「隆盛」だったが、それは西郷の父親の名前。本名は「隆永」だったが、本人も訂正することなく「隆盛でよか」と通したという。
【ランディ・バース】
【ランディ・バス】 英語表記は「BASS」で「バス」が正式な発音。だが、阪神の親会社がバスも運行していることから、好調時に「阪神バス大爆発」などとスポーツ紙に書かれると誤解を招くと懸念して登録名を「バース」とした。
【カーネル・サンダース】
【ハーランド・デーヴィッド・サンダース】 サンダースは40歳のとき、ケンタッキー州のガソリンスタンドのそばに小さな「サンダースカフェ」を開いた。そこで出したフライドチキンが大当たり。45歳のときに州への貢献が認められて州知事から「カーネル」という名誉称号が与えられた。