ベッキー騒動で手痛いダメージを負っているサンミュージック。その穴埋め役というわけではないが、同じ事務所のお笑いコンビ・メイプル超合金が引っ張りだこだ。赤い服に金髪が目印のカズレーザー(31)、体重130キロの巨漢を誇る安藤なつ(35)。見た目のインパクトが強烈なのは誰の目にも明らかだが、彼らの売れている理由がわからないという人も少なくないかもしれない。
『M-1グランプリ2015』では栄冠を逃したものの、その後は優勝したトレンディエンジェルに匹敵する活躍を見せるメイプル超合金。「M1特需」と呼べる時期はとうに過ぎているにもかかわらず、彼らの勢いが続くのはなぜか。お笑い評論家のラリー遠田さんはこう分析する。
「メイプル超合金の売りといえば、見た目のわかりやすさとカズレーザーさんの自由奔放なトークですが、二人が安定してテレビに呼ばれるのがなぜかというと、カズさんが常に“平熱”で堂々としているからだと思います。
普通の若手芸人は、ブレイク直後は頑張りすぎて空回りしがちです。ガチガチになっているのが面白いこともありますが、緊張しているのがお客さんに伝わってしまうと、多くの場合は面白さが減ってしまいます。でもこのコンビ、特にカズさんは全くそういうことがなく自然体なので、見ているほうも安心して楽しめるのです」(ラリー遠田さん・以下「」内同)
カズレーザーの自然体は最近身についたものではない。カズレーザーはメイプル超合金が結成される2012年以前から「いつでも自然体でいられる芸人」だったという。
「カズさんのピン芸人時代に何度かライブを観覧しましたが、ツッコミ役がいないので、カズさんの意味不明なギャグにお客さんがついてこられずに滑っていることがありました。ところがそんな時でもカズさんは堂々としていたのです。自然体であることが最初からできている芸人というのは、他にはあまりいません」
ネット上では、カズレーザーが学生時代にバンダイの会社説明会に“全身赤”で行っていたなどの噂があったが、本人もそれらが事実であると認めた。行きすぎなくらいの自然体は、もともとの資質のようだ。
では、トーク力はどうか。「見た目先行」で出てきただけに、不安材料と取られることもありそうだが…?
「3月に放送されたラジオ番組『メイプル超合金のオールナイトニッポンR』は、業界内でもとても評判がよかったようです。二人の掛け合いは見た目なしでも通用する。底力があることを証明しました」
しかしそれは、カズを扱い慣れている相方・なつがいるからこそ、ともいえる。カズレーザーの独特のトークは、それ以外の人間とも成立するのだろうか?
「本人が常に一定で相手に合わせることもしないので、番組やMCのタイプによっては合わないこともあるかもしれません。それでもM-1から5か月経ってもまだ使われているということはテレビで通用しているということ。インテリという意外な面があったり、ドッキリ系の番組でのリアクションが面白かったりと、まだまだ引き出しはありそうです」
『激突!! ニッポンの仕事人』(TBS系)でTKOの木本武宏(45)に、メイプル超合金が楽屋に挨拶に来ていないことを暴露された時にも、カズレーザーは「一回会ったことがある」という理由で押し通し、司会の浜田雅功(53)からも「新しい!」と称賛された(ちなみに浜田にも挨拶に行っていない)。相性が合えば笑いにつながるが、相性が合わないMCの時にどうなるのか。それはそれで見どころでもある。
「今はカズさんばかりが注目されていますが、今の勢いを持続するには、ボケとツッコミを磨いて、コンビとしての面白さを見せていく必要があります。なつさんの持ち味をいかに出していくかが、今後の課題になると思います」
事務所の稼ぎ頭になる日もそう遠くないかもしれない。