体育館を後にされる間際、皇后美智子さまはおもむろに1人の男性のもとに歩みを進められ、再びお声をかけられた。天皇陛下とご一緒に被災者たちに励ましの言葉をおくられた後の、異例の「2度目のお声がけ」。そこには、美智子さまもまさかここで再会するとは思いもされなかったであろう元側近の姿があった──。
5月19日、天皇皇后両陛下は熊本地震の被災地を訪問された。日中の気温は30℃に迫り、立っているだけで汗が噴き出すような暑さの中、羽田発の特別機で熊本空港に到着された両陛下は、自衛隊のヘリコプターで阿蘇大橋の崩落現場や倒壊した学生アパートなどを視察し、黙祷を捧げられた。
「両陛下は、地震発生直後から新聞やテレビを通して被害状況の把握につとめられ、被災されたかたがたを一刻も早くお見舞いし、勇気づけたいとお考えになっていました。余震が続く中での被災地訪問には危険が伴うという意見もありましたが、両陛下の強いご希望と今後の公務やサミットの日程などを考慮した上で、このタイミングでの実現となりました」(宮内庁関係者)
視察を終えられた両陛下が向かわれたのが、避難所となっていた南阿蘇中学校の体育館だった。
「両陛下はスリッパも履かれず硬い床の上で膝を折り、被災者と同じ目線で励ましのお言葉をかけられました。20分という限られた滞在時間の中で、両陛下はそれぞれお声がけされては立ち上がり、移動してはまた膝をつかれるということを繰り返されました」(皇室記者)
幼い子供から老夫婦までが、広げたビニールシートや毛布の上に座っている。両陛下のお姿を前にした被災者の表情には、一様に安堵の色が浮かんでいた。そんな中に、冒頭の男性の姿はあった。