「これから地震保険を付けるとなると、いくらくらいかかるのか?」「今すぐ、保険の内容を見直したい」──今、保険会社にそんな問い合わせが激増しているという。もちろん大きな原因は、これまで地震と無縁だった熊本での大地震。加えてこのタイミングに、来年1月、保険料が値上がりするというニュースが大きく報じられ、地震保険に注目が集まっているのだ。
そもそも、地震保険は入るべきなのだろうか? その答えは「入るべき」。その理由を説明する前に、まずは地震保険そのものについてお話ししよう。ファイナンシャルプランナーの清水香さんが説明する。
「地震保険を他の保険と同じように考えてはいけません。地震保険は国の政策の一環として運営されています。保険会社の儲けはなく、本当に困ったときのお金を確保する手段と考えると、決して高い保険料ではありません」(清水さん、以下同)
保険料は地域によって異なるが、保険料が最も高い東京の木造住宅でも年間3万円ほど。一世帯あたりの生命保険料は年間平均39万円だが、少しの保険料で本当に困った時に、まとまったお金がもらえるわけだから、「入るべき」なのだ。
地震保険は火災保険とセットで入るもの。火災保険に入る時、地震保険も一緒に入るかどうかを選ぶという形で加入する。
「補償対象は居住用の住宅と暮らしに必要な生活用家財。勘違いするかたが多いのですが、被災した家を再建する保険金を支払う目的の保険ではありません。地震保険の目的は、自力で生活を立て直す足掛かりとなる資金を確保することです」
ちなみに、地震保険の世帯加入率は全国平均28.8%。人々の関心の高さからすると、意外なほどに低く、3割に満たない状態だ。
地震保険に加入しない理由は、内閣府「防災に関する世論調査」によると「保険料が高いから」とあげた人が最も多く、続いて「地震保険だけでは家を再建できないから」。「保険の内容がよくわからない」という理由が次に多かった。
では、実際に被災した場合、地震保険では最大いくら補償されるのだろうか。
基本的に地震保険は、セットで入る火災保険の金額の最大5割が補償されるしくみになっている。例えば、2000万円が補償される火災保険に入っていた場合は、地震保険で最大1000万円まで補償されるということだ。
支払われる保険金は、建物または家財に受けた損害によって異なる。現在は全損(100%)、半損(50%)、一部損(5%)の3区分で損害が認定される。
例えば、あくまで目安であるが、補償金額が1000万円だったとき、住宅の構造部分に50%以上損害が生じたときは全損で1000万円受け取れるが、それに満たない20%から50%未満の損害は半損で500万円。壁にヒビが入ったなど3%以上20%未満の損害は50万円となる。
その大きな金額の差が震災のたびに大きくクローズアップされるが、実際、阪神・淡路大震災で被災した大野裕子さん(仮名・65才)は、半損認定を受けて助かったことがあるという。
「当時、屋根瓦がほとんど割れたり、塀が崩れたりしましたが、半損認定を受けて500万円もらって助かりました。もう年だし、保険の見直しをして生命保険を解約したけれど、地震保険だけは継続して入っています」
※女性セブン2016年6月9・16日号