新聞・テレビは日替わりで舛添要一・東京都知事の新たなスキャンダルを報じ、都民からは「早くヤメロ」の大合唱。自民党内では都知事選の候補者選びが加速している。有力候補として小池百合子・元防衛相の名前もあがっている。
だが、東京五輪組織委員会会長の森喜朗・元首相は「大の小池嫌い」で知られ、自民党の候補者選びは混迷が予想される。森氏は五輪開催地である東京都知事には、自分がコントロールできる人物を置きたいと考え、「小池都知事」には反対の立場を取ると見られているのだ。
だが、これでは国民の怒りはおさまらない。政治アナリストの伊藤惇夫氏が指摘する。
「メディアの舛添バッシングで巧妙に隠されているが、そもそも森さんは五輪の最高責任者として新国立競技場やエンブレム問題、招致活動をめぐる贈賄疑惑などの責任を問われる立場です。その森さんが自分の意に沿う人物を都知事に据えようと後任選びまで影響力を持っているのだとしたらおかしい。
国民はなぜ森さんが組織委員会会長に居座っているか疑問に感じているはずです。だから舛添氏が辞めて都知事選に突入すれば、その時こそどの候補が森さんを会長から勇退させるかが選挙の最大の争点になるのではないか」
森氏が小池氏擁立に反対しているといわれている件について東京五輪組織委員会を通じて取材を申し込んだが、「お受けできません」との返答だった。森氏に“天敵”視されている小池氏はこの状況になんというか。直撃した。
──次の都知事候補に名前があがっている。
「いつも幻の“候補者候補”ですから。名前が出ていじられ損ですよ(笑い)」
──森さんが小池擁立反対といわれている。
「派閥のお作法や文化には疎く、非礼を重ねたと思います。森会長には厳しく、温かくご指導を賜っております」
──次の都知事に必要な条件は何と考えるか。
「東京五輪だけが都知事の仕事ではありません。都民の生活と生命を守ることが第一ですが、最優先は舛添さんが失った都政への信頼を取り戻すことでしょう」
果たして小池氏の出番は来るのか。
※週刊ポスト2016年6月10日号