衆参同日選をめぐる〈安倍首相VSオール衆院議員〉の攻防が展開されている。安倍晋三・首相が衆参W選挙に強い意欲を示すのとは対照的に、与野党の議員たちは戸惑いを隠せない。「なぜ今やる必要があるのか……」そう考えているのだ。
こうした解散風の威力は強大だ。なんと“病床”に伏せっている甘利明・前経済再生相を立ち上がらせた。
甘利氏は今年1月に政治資金疑惑で大臣を辞任して以来、野党が国会出席を要求しても「睡眠障害」を理由に病欠したままだ。ところが、サミット2日前(5月24日)になって突然、「できるだけ早く体調を含めて、説明の機会を持ちたい」と事務所を通じて衆院議運委員会に伝えてきた。野党国対幹部が語る。
「同日選になれば甘利さんの大苦戦は間違いない。だが、いくら要求されても国会に出てこないのに、選挙運動だけはできるとなったら批判を浴びる。甘利さんは盟友の安倍さんなら解散をやると判断して、焦って国会に出てくる気になったんじゃないか」
確かに甘利氏は選挙のことを考えたら居ても立ってもいられず、夜も眠れないだろう。だが、実際は安倍首相以外、与党議員も野党議員も本音は解散が嫌なのである。
※週刊ポスト2016年6月10日号