中国版ツイッター「微博」で、こんな書き込みが喝采を浴びている。
「彼の発言は暴言じゃない。誠実なだけだ!」
5月24日(日本時間)に発表された米政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」の世論調査で、民主党のヒラリー・クリントン氏を初めて上回ったドナルド・トランプ氏への熱烈なラブコールだ。
送り主は微博でトランプ氏を応援する投稿を続ける「川普粉絲団(トランプファンクラブ)」だ(5月26日時点では「米国人権大観察」にアカウント名を変更)。フォロワーは約4万人にのぼる。
中国国内では他にも、ネット上にいくつものファンクラブが乱立している。「床破粉絲団(床破粉はトランプの別の当て字)」の管理人は、5月14日付のニューヨーク・タイムズ紙がトランプ氏のセクハラやパワハラ疑惑を報じると「誹謗中傷だ」「ニューヨーク・タイムズに抗議しよう」とフォロワーに呼びかけた。
それらの中で最も熱狂的なのが、冒頭の書き込みをした「米国人権大観察」だ。とはいえ、トランプ氏はこれまで「習近平・国家主席を国賓として招待しなくていい。(もてなしは)ハンバーガーで十分だ」など、中国相手にも過激発言を繰り返してきた。そんなトランプ氏をどう捉えているのか、同アカウントの管理人に話を聞いた。
「確かに過激な発言は多いが、それらはパフォーマンスだと考えている。実際には米国内の移民問題なども隠さず厳しく批判するなど、話の筋が通っている人物だ」
そのコメントの直後、管理人は「日本のメディアからこんな取材がきている」と、本誌が送った質問状をネット上に公開。それを見た“ファンクラブ”のメンバーたちからは「彼はハンサムだから好きだよ」「彼の発言は誠実だ。偽善に見えるヒラリーの方が嫌いだ」など、トランプ礼賛のお祭り状態に。中には本誌の「トランプ氏にはカツラ疑惑もあるが……」という質問に対し「地毛かどうかが大統領の素質に関係あるのか?」という大マジメなお叱りの声もあった。
トランプ氏が主張通りに在日米軍を撤退させれば、中国としては好都合……とかそういった難しい話はとりあえず彼らには関係なさそう。
※週刊ポスト2016年6月10日号