2013年、3080万人を死に至らしめた79の死因リスクを米ワシントン大学が分析した結果、“世界一多い死亡の原因は高血圧”であることがわかった。
現在の日本での死因1位はがんだが、脳卒中が日本人の死因1位だった時代が長く、現在も心疾患や脳疾患などの高血圧系疾患は、日本人の死因の約4分の1を占めるという。欧米では心筋梗塞が多く、どちらも高血圧との因果関係が深い病気だ。
高血圧がもたらす循環器系の重大疾病について記したが、塩分の過剰摂取が引き起こす厄介な病気がほかにもある。血圧の専門医である渡辺尚彦さんは語る。
「その代表格がズバリ胃がんです。近年では胃がんの要因として高濃度の塩分が胃粘膜を傷め、胃がんを引き起こすことがわかってきています」(渡辺さん)
また、骨粗しょう症予防のためにも減塩が大事と管理栄養士の弥冨秀江さんは話す。
「閉経期前後から女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が減少してくると、カルシウムが吸収しにくくなります。さらに塩分の摂りすぎでナトリウム摂取量が増えると、腎臓でのカルシウム再吸収量が少なくなってしまい、尿と一緒にカルシウムが排出され、骨がもろくなってしまうのです」(弥冨さん)
健康寿命を左右する3大要因のうち、その1つが骨年齢。寝たきりの2大要因が脳卒中と骨折。骨密度は18才を最大に加齢とともに減少。特に閉経後の女性は骨粗しょう症になりやすいだけに、中高年以降に骨折して寝たきりにならないよう、日頃からの減塩を心掛けて。
他には血管年齢や腸年齢がある。日本では、認知症の原因の3割以上が脳卒中。血管年齢を若く保ち、動脈硬化を予防したい。血液の質と血圧管理が重要だ。
腸内フローラなどの腸内環境は消化吸収だけでなく免疫にも直結。免疫力低下や便秘を防ぐためにも腸内環境をキープしよう。
※女性セブン2016年6月9・16日号