この7月、アメリカでの“日本軍慰安婦教育”を左右する大きな決定が下される。本誌・SAPIO3月号では、カリフォルニア州の公立高校で2017年に改訂される「歴史・社会科学」の教育カリキュラム素案に、「日本軍慰安婦」の記述が含まれていることを報じた。つまりアメリカで“慰安婦教育”が始まるということだ。
そこにはこう記されていた。
〈「慰安婦」は制度化された性奴隷の実例として、また20世紀における最も規模の大きい人身売買の好例として教えることができる〉
〈慰安婦全体の数の推定は様々だが、多くのものは数十万人の女性が日本軍占領期間中、こうした施設に無理やりに入れられたと指摘している〉
──言うまでもなく日本軍による「強制連行」の事実は確認されていないし、「数十万人」という数も根拠がない。また、女性たちは常に監視され性交渉を強要されていたような「性奴隷」でもない。
カリフォルニア州教育局はこのカリキュラム案について意見集約し、7月に最終決定する予定だ。本稿締め切り時点で、「20世紀における最も規模の大きい人身売買」という部分の記述は削除される見通しだが、「性奴隷(Sexual Slaves)」の表現は残ると見られている。
カリフォルニアは教育先進州のため、もし同州で「性奴隷」の表現が用いられた教育が始まれば、アメリカ全体の高校教育に影響する可能性もある。
“慰安婦教育”導入を推し進めているのは、アメリカ国内での慰安婦像設置運動で世論をあおり立てた、在米韓国系ロビー活動家たちである。
昨年末の日韓合意では「慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決」が定められたはずだ。
カリフォルニア州のグレンデール市では2013年に慰安婦像が設置されているが、同市の市長は日韓合意について支持する意向を表明しており、合意によってアメリカ発の「日本非難」の動きはブレーキがかかったように見えた。
しかし、韓国系ロビー団体は同じカリフォルニア州で“慰安婦教育”を推進すべく、日韓合意後、アメリカ国内での活動を活発化させていたのである。