中国では中国共産党員へのゴルフ禁止令により、この半年間で60カ所以上のゴルフ場が閉鎖されたことが分かった。これはアルウィン・タイ・中国ゴルフクラブ協会長が香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」に明らかにしたもので、来年も50~60か所のゴルフ場の閉鎖が予想されるという。
中国では昨年10月、中国共産党は約8800万人の党員を対象にした新倫理規定を発表し、汚職や不適切な性関係に加え、接待ゴルフへの参加も禁止した。
新倫理規定は正式には「党員が守らなければならない道徳的倫理規定」という名称で、「共産党員は公私を混同せず、公的利益を優先して利他的態度で勤労に励まなければならない」としている。
この規定に「ゴルフ禁止令」が加えられたのは「グリーン上での接待ゴルフが汚職や不正取引を生む温床となっている」とされるためだ。このため、党員はプライベートな場合を除いては今後、コースでプレーすることも、会員権の所有もできない。
規定には、違反した場合の罰則は明文化されていないが、「新倫理規定は刑法に優先する」と中国メディアは伝えており、違反者は「党籍はく奪」などの厳罰が下される可能性がある。
中国ではこれまでも、ゴルフ場の建設やその後の維持で、膨大な土地と大量の水などの資源が無駄になるとして、幹部は事実上、ゴルフを禁止されていたが、党員全体のゴルフ禁止が明文化されたのは初めて。
タイ会長によると、昨年10月以来、60か所以上のゴルフ場が閉鎖されているのに加え、「来年も50~60か所がこれに続くのではないか」と指摘。その理由として施設の経営難を挙げ、「建設、運営に巨大なコストがかかる上、政府の支持も得られない。中国の選手が先日の北京の大会で優勝したが、短期的に人々の関心が(ゴルフ場に)注がれるとは考えられない」とタイ会長はサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙に述べている。
中国では2014年末の時点でのゴルフ場の数は639件と、2004年の178件の3.6倍にも達しているが、今回の激減で、「中国のゴルフ業界が調整期に入った」と同紙は予測している。
ネット上では「ゴルフは来年のリオデジャネイロ五輪の正式種目に入っており、純然たるスポーツであり、それを禁じるのは時期尚早だ」や「ゴルフ禁止令は反腐敗運動を展開する習近平国家主席の強い意向が働いている。それならば、習氏が好きなサッカーも禁止すべきだ」との声も出ている。