スポーツ

女子格闘技 新世代、出戻り、エリートが揃い隆盛へ

吉田沙保里のライバルだった村田夏南子

『TIME』誌が選ぶ「世界で最も影響力のある100人」に総合格闘技で活躍するロンダ・ラウジーが選ばれるなど、女子総合格闘技シーンが盛り上がりを見せている。盛況ぶりは日本にもおよび、昨年大晦日に鮮やかな腕十字固めで勝利したRENAが様々なメデイアに登場し、4月に総合デビューした村田夏南子が米国で6月4日に開催される「KOTC Firefight」に出場するなど、日本の女子総合格闘技も華やかな話題が続いている。

 女子格闘技にくわしいフリーライターの藤村幸代さんは、話題を集めているのは「いろいろな個性や経験の選手が増えてきたところに、村田さんのようなスポーツエリートも加わって、純粋に内容への期待が高まっているから」だとみている。

「2000年代の格闘技ブームのころ、子どもの習い事に格闘技を選ぶ親が増えました。それから約10年経ち、小さな頃から総合格闘技を体験してきた世代が選手になっています。17歳の山口友花里や21歳の魅津希など、空手やキックボクシングをベースに組み技にも取り組み、総合の試合に出場しています」

 地上波の民放3局が大晦日に総合格闘技を中継した2003年ごろ、観るだけでなく、格闘技ジムに足を運び取り組む人も増えた。そんな大人たちが、家族で格闘技を楽しみたいと自分の子どもたちにも格闘技を習わせた。そのときの子どもが成長して、いま、選手として活躍している。

 2000年ごろの総合格闘技ブームは女子にも波及し初の継続的女子総合格闘技イベント「SMACK GIRL」が発足、定期的に女子選手のみの総合格闘技の大会が開催されるようになった。続いて「AX」「Love Impact」「CROSS SECTION」など女子専門の総合格闘技イベントが開催され、女子総合格闘技はブームを迎えた。現在、国内で定期的に開催されている唯一の女子総合格闘技イベント「DEEP JEWELS」は、この「SMACK GIRL」の流れをくんでいる。

「2000年代に女子総合格闘技で活躍した選手のなかには、結婚や出産のために現役を退いた人も少なくありませんが、最近、相次いで復帰しています。スマックガール初代フライ級王者のしなしさとこは2009年に出産ののち復帰、また引退状態だった元DEEP女子ライト級王者の渡辺久江も今年から本格復帰、レスリング出身でモデルとしても活躍した長野美香もリングから遠ざかっていましたが、出産を経て6月5日のDEEP JEWELSで復帰し選手層に厚みが出てきました」(前出・藤村さん)

 10~20代前半の新世代の若手が台頭し、2000年代のブームを支えたベテランが復帰、女子のみの総合格闘技イベントはDEEP JEWELSのみではあるものの、男子中心のイベントに女子の試合が組まれることが増えた。東京五輪を目指すレスラーとして育てられたレスラーの村田夏南子が加わったことで、さらに女子総合格闘技シーンの可能性が広がっている。

「総合格闘技のおもしろさは、様々なバックボーンやキャリアを経てきた人たちが、それぞれの特徴を生かした戦いを見せてくれるところです。試合ごとに体重やルールを調整できるので、自分の身体特性や得意なスタイルを活かして勝負をかけやすい競技でもある。そういった意味で、格闘技に取り組むきっかけも道のりもバラバラな人たちが集まっている今の日本の女子総合格闘技は、とても面白い時代を迎えていると思います」(前出・藤村さん)

 演出などはまだ手探り状態の女子総合格闘技だが、「演出」が行き届かない、もっとも格闘技らしい面白さを味わえそうだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚することがわかった
女優・趣里の結婚相手は“結婚詐欺疑惑”BE:FIRST三山凌輝、父の水谷豊が娘に求める「恋愛のかたち」
NEWSポストセブン
タレントで医師の西川史子。SNSは1年3ヶ月間更新されていない(写真は2009年)
《脳出血で活動休止中・西川史子の現在》昨年末に「1億円マンション売却」、勤務先クリニックは休職、SNS投稿はストップ…復帰を目指して万全の体制でリハビリ
NEWSポストセブン
中川翔子インスタグラム@shoko55mmtsより。4月に行われた「フレンズ・オブ・ディズニー・コンサート2025」には10周年を皆勤賞で参加し、ラプンツェルの『自由への扉』など歌った。
【速報・中川翔子が独立&妊娠発表】 “レベル40”のバースデーライブ直前で発表となった理由
NEWSポストセブン
『ザ・ノンフィクション』に出演し話題となった古着店オーナー・あいりさん
〈一緒に働いている男性スタッフは彼氏?〉下北沢の古着店社長・あいりさん(20)が明かした『ザ・ノンフィクション』の“困った反響”《SNSのルックス売りは「なんか嫌」》
NEWSポストセブン
“凡ちゃん”こと大木凡人(ぼんど)さんにインタビュー
「仕事から帰ると家が空っぽに…」大木凡人さんが明かした13歳年下妻との“熟年離婚、部屋に残されていた1通の“手紙”
NEWSポストセブン
太田基裕に恋人が発覚(左:SNSより)
人気2.5次元俳優・太田基裕(38)が元国民的アイドルと“真剣同棲愛”「2人は絶妙な距離を空けて歩いていました」《プロアイドルならではの隠密デート》
NEWSポストセブン
『ザ・ノンフィクション』に出演し話題となった古着店オーナー・あいりさん
《“美女すぎる”でバズった下北沢の女子大生社長(20)》「お金、好きです」上京1年目で両親から借金して起業『ザ・ノンフィクション』に出演して「印象悪いよ」と言われたワケ
NEWSポストセブン
奈良公園で盗撮したのではないかと問題視されている写真(左)と、盗撮トラブルで“写真撮影禁止”を決断したある有名神社(左・SNSより、右・公式SNSより)
《観光地で相次ぐ“盗撮”問題》奈良・シカの次は大阪・今宮戎神社 “福娘盗撮トラブル”に苦渋の「敷地内で人物の撮影一切禁止」を決断 神社側は「ご奉仕行為の妨げとなる」
NEWSポストセブン
“凡ちゃん”こと大木凡人(ぼんど)さんにインタビュー
《“手術中に亡くなるかも”から10年》79歳になった大木凡人さん 映画にも悪役で出演「求められるのは嬉しいこと」芸歴50年超の現役司会者の現在
NEWSポストセブン
花の井役を演じる小芝風花(NHKホームページより)
“清純派女優”小芝風花が大河『べらぼう』で“妖艶な遊女”役を好演 中国在住の実父に「異国まで届く評判」聞いた
NEWSポストセブン
第一子を出産した真美子さんと大谷
《デコピンと「ゆったり服」でお出かけ》真美子さん、大谷翔平が明かした「病院通い」に心配の声も…出産直前に見られていた「ポルシェで元気そうな外出」
NEWSポストセブン
2000年代からテレビや雑誌の辛口ファッションチェックで広く知られるようになったドン小西さん
《今夏の再婚を告白》デザイナー・ドン小西さんが選んだお相手は元妻「今年70になります」「やっぱり中身だなあ」
NEWSポストセブン