熊本地震の発生後、韓国のネット掲示板や一部メディアには日本の災害を喜ぶかのような暴言が数多く飛び交った。そんな同胞の言動に、韓国紙も「恥ずかしく嘆かわしい」と不快感を示している。
熊本で最初の震度7の大地震が起きた翌4月15日、韓国紙『朝鮮日報』は、韓国のインターネット掲示板に、日本の災害をあざ笑う悪質な書き込みが相次いでいることを報じた。問題視されたのは、〈日本の猿どもはみんな死ね〉〈日本の地が地図から消えてしまえばよかった〉〈猿たちの住む所は地上ではなく、海の中でなければならない〉といったネットユーザーの書き込みの数々。
その中には、〈独島(竹島の韓国側の呼称)、慰安婦問題などで日本がやっていることを考えると、正直、ひとつも悲しくない〉、〈日帝時代に日本で強制労働させられ、多くの方が亡くなった。悪い先祖のために、その子孫が罰を受ける〉というように、韓国人の一方的な歴史認識と震災を結びつけ、日本を断罪する内容もあったという。
朝鮮日報はその後のコラムで、熊本地震に関するネットの書き込みについて、
「目を背けたくなるほどの中傷やひどい内容が多い」
と批判。『中央日報』も4月20日付の社説で、
「熊本地震に関連し、一部のネットユーザーが乱暴なコメントをしているのは非常に恥ずかしく嘆かわしいことだ」
と不快感を示した。社説はまた、〈(韓国は)東日本大震災当時に寄付金を集めたが、日本は感謝するどころか慰安婦など過去の歴史を歪曲しようとしているため、二度と助けるべきでない〉というネットユーザーの声を紹介した上で、
「隣国の不幸に目を閉じたまま二度と助けてはいけないと言ったり喜んだりするのは正当化されない」「我々の中に渦巻く排他的で偏狭な民族主義は追い出さなければいけない」
との論評を掲載した。
同紙は2011年の東日本大震災報道で「日本沈没」の見出しとともに被災地の様子をセンセーショナルに報じ、国内外から批判の嵐に晒された過去がある。だが、今回の震災報道はいたって冷静だった。地震発生から数日後の紙面には、「極限状況で目を引く日本の市民意識」とのタイトルで、激しい余震が続く中でも冷静さを失わず、秩序を保ち続ける被災者を賞賛する記事も掲載している。
※SAPIO2016年7月号