安倍晋三・首相の衆参同日選断念で永田町はホッとしたように参院選に突入した。それまで首相が衆院解散に向けて打った手は全部どんぴしゃりと当たっていた。伊勢志摩サミットとオバマ大統領の広島訪問で大きな外交成果を上げ、内閣支持率は急上昇。消費税10%への増税先送りも国民の7割(共同通信調査)が賛成している。2012年と2014年の総選挙、2013年参院選に続く国政選挙4連勝に向けての準備は万端整っていた。
あとは“伝家の宝刀”を抜くだけ、という土壇場で解散を断念した。思いを遂げられなかったのがよほど悔しかったのだろう。
「解散が頭の中をよぎったことは否定しない」
これまで「解散のかの字も考えていない」と言い続けた首相は6月1日の記者会見でそう本音を漏らした。
いま、アメを取り上げられただだっ子のようにふてくされているという。官邸スタッフが打ち明ける。
「ダブルを考えていたとき、総理はやる気満々で参院選の情勢を分析し、接戦となっている東北各県については“全部オレが回る”と応援日程を検討させていた。それがダブルをあきらめた途端、“(小泉)進次郎に回らせればいいんじゃないか”と投げやりになった。すっかりモチベーションが下がっている」
※週刊ポスト2016年6月17日号