日本人の失明原因第1位にもかかわらず、「緑内障」を自分とは縁遠い病気だと考える人は多い。だが、あの人もこの人も実は緑内障だった、と知ったらどうだろうか。緑内障患者である著名人の“闘病記”から学ぶ。
「かれこれ20年以上の付き合いになりますが、罹患したことが分かったのは本当にたまたまだったんです」
こう振り返るキャスターの森本毅郎氏(76)は21年前、大学病院の眼科で緑内障と診断された。その時、既に右眼の視野の半分が欠けていたという。
緑内障(開放隅角緑内障)は、眼と脳をつなぐ視神経の線維が減っていく病気で、減った神経が認識していた部分が見えづらくなり、ジワジワ視野が欠けていく。そして末期になるとほぼ全体が見えなくなり、目の前が真っ暗になってしまう。
日本人の失明原因の第1位で、推定患者数は約400万人、40歳以上の20人に1人が発症しているとされる。森本氏は自覚症状は感じていなかったが、「今思うと、おかしかった」と感じた出来事があったと話す。
「メガネが合わなくなっていたんです。私は長年、信頼する技師に頼んで度数を合わせてもらっていた。ですが、調整してもすぐに合わなくなって、時々、ぼやけて見えることがあった」
それでも日常生活に問題はなかったが、その後、左眼に重苦しい痛みを感じるようになったという。
「ラジオやテレビの仕事で体を酷使し続けて50代半ばになったから、身体のどこに無理が出てもおかしくない。そこで、眼科を受診したんですが、単に疲れ眼が原因だといわれました。ホッとして診察室を出ようとしたところ、お医者さんが『せっかくだから、この機会にしっかり検査をしましょう』という。そうして何気なく受けた検査で、痛かった左眼ではなく、実は右眼が緑内障だと分かったんです」
いかに緑内障が自覚症状のない病気か、よく分かるだろう。