連続ドラマ『警視庁・捜査一課長』(テレビ朝日系、木曜20時~)に出演中の俳優・内藤剛志(61)は、ドラマや映画に欠かせぬ存在といえる。今でも、主役の話が4本きていて1年後までスケジュールが埋まっている。
だが、内藤は俳優であると同時に、現在は東海地区で生放送の情報番組『スタイルプラス』(東海テレビ、日曜12時~)と情報系旅番組『土曜スペシャル ナイトウ旅行社』(テレビ東京ほか、土曜18時30分~)で司会を務める。
ある日の『スタイルプラス』。番組が終了すると、内藤はその日のゲストだった小倉智昭、黒沢かずこ(森三中)と両手で深く握手をして2人をスタジオから送り出した。
「生放送は出演者もスタッフも嵐の中を航行する船の乗組員と同じで、瞬間、瞬間に全員が力を合わせないと大事故になってしまう。だから、無事に終わると、“本当にありがとうございます”という気持ちから両手で握手することにしたんです。収録でも自分が司会をやっている番組では同じ気持ちです」
それを「自分のルール」にしているという。内藤が自らに課しているルールはまだ他にもある。
『スタイルプラス』終了後、スタッフと親睦を兼ねた反省会が開かれたときのことだ。およそ1時間、会話をリードし、場を盛り立てていたのはほとんど内藤だった。ドラマ収録中のエピソード、若い頃の体験談、いろいろな分野の最新情報を披露し、笑いを取っていた。
番組が始まった10年前から一緒に司会をしている松井美智子アナは、「雑談力が高くて、話の引き出しが豊富です。そしてみんなを盛り立てようという気配りをとてもされている」と感心する。実はそれは、内藤が意識的に身につけ、意識的に実践していることだ。
「俳優を始めた頃、原田芳雄さんや松田優作さんがヒーローでしたから、俳優は無駄なことは喋らないのがいいと思っていた。でも、20年以上前、ある芸人さんと雑談していたとき、いわれたんですよ。『俳優は役がなかったらただの人だけど、自分の言葉で喋れるなら、芸能界に長くいられますよ』って。
あっと思いました。バラエティ番組に出たり、司会をやったりすることは、自分で自分をプロデュースすることなんだって。それ以来、俳優は俳優としてちゃんとやるとして、話題は豊富でなければならない、自分の言葉で喋れなければならない、と自分に課すようにしたんです」