中国の習近平国家主席の秘書だった朱国鋒氏が現在、中華全国供給総社弁公庁副主任に転じていることが分かった。同総社は農産物や農業生産資材の流通条件の整備や農村部での資金調達などを担当する国営の政府機関だが、習氏の秘書で、中国共産党中央弁公庁の局長級だった人物が勤務するような機関ではなく、明らかに更迭人事といえる。
朱氏の上司だった霍克・党中央弁公庁秘書局長が昨年、令計画・元中央弁公庁主任の腐敗事件に絡んで解任されており、朱氏も令計画氏の事件に巻き込まれて、中央弁公庁から追いやられた可能性が強い。米国を拠点にする中国問題専門の華字ニュースサイト「博聞新聞網」が報じた。
朱氏は1973年5月、広東省で生まれ、現在43歳。1995年、党官僚を要請する北京の中国人民大学法学部卒業し、同大修士課程を修了。その後、党中央弁公庁に入り、2007年秋の第17回党大会で党政治局常務委員に昇格した習氏の秘書の一人に抜擢され、5年後の第18回党大会を経て、正式に党総書記秘書に任命され、党中央組織の局長級の幹部に昇進した。
しかし、朱氏は2012年7月まで党中央弁公庁主任を務めた令計画氏の影響を強く受けており、令氏が同主任を解任され、その後、腐敗問題で逮捕されると、捜査の手が令氏の周辺に及んだ。この結果、朱氏の直属の上司だった霍克・党中央弁公庁秘書局長が昨年初め、収賄や機密漏えい容疑で突然、解任されており、朱氏も令計画問題をめぐる腐敗事件に関わっていた可能性が高いとみられている。
博聞新聞網によると、令氏の後任で、習氏の腹心中の腹心といわれる栗戦書・主任は秘書らに「習近平主席に絶対忠誠を誓え」と常々強調しており、朱氏は栗氏に嫌われたとの見方も出ている。
しかし、朱氏は習氏の秘書を解任されても、逮捕されず、いまだに局長級の役職についていることから、腐敗などの犯罪行為にはかかわっていないとみられる。なぜならば、朱氏が現在、勤務している中華全国供給総社弁公庁はほとんど権限がなく、予算が乏しく、賄賂などの腐敗事件には縁が遠い役所と揶揄されているからだ。