いま、巨人の二軍は「超豪華メンバーのたまり場」だ。開幕から二軍暮らしのマイコラス(年俸2億4000万円)は5月末、都内で行なわれた新作映画のPRイベントに日本でタレント活動をしているローレン夫人とともに颯爽と登場。
「その場にいたのは芸能マスコミばかりで、“こんなところに来てていいんですか?”と聞く記者はいなかったが、他の選手からは顰蹙を買った」(球団関係者)
かつての守護神・西村健太朗(1億3000万円)は、開幕三軍スタートで先日ようやく一軍へ上がったばかり。開幕4番・ギャレット(3億円)も、打率低迷と5月22日の中日戦での1イニング2失策で “戦犯”となり二軍落ち。右肩痛で戦線を離れていたチームの要・阿部慎之助(3億2600万円)が一軍復帰するまでは、「二軍選手の年俸で15億円」と揶揄された。
阿部は復帰初戦のオリックス戦で逆転の決勝2ランを放ったが、ファン心理には微妙な影を落としている。熱狂的な巨人ファンのタレントのヨネスケ氏はいう。
「これだけ主力が故障で出られなくても勝率5割近辺ですから悪くはない。阿部さんが復帰して打線は変わるでしょうしね。
ただ、将来的なことを考えたら、今年ここまで任せたのだから、何があっても最後まで小林(誠司・2600万円)を(捕手として)使おうよ。ここはある程度、結果に目をつぶるべき時だと思うね」
当初の構想通り、「若手をきちんと育てる」ことがファンの望みでもあるのだ。コラムニスト・えのきどいちろう氏は「もう巨人は、今年の優勝は諦めたらいい」とまでいう。
「開幕直前に野球賭博事件が発覚して、高橋監督は火中の栗を拾って就任した。若手のヨシノブ・チルドレンをたくさん作ったほうが建設的でしょう」
となるとやはり、「サード・岡本和真(1400万円)」のような起用が必要なのか。巨人OBの広岡達朗氏がいう。
「たしかに岡本の守備はプロのレベルではない。守備オンチです。でも、それを教えるのがコーチの仕事。試合で使い、何年もかけて一人前の選手に育て上げる。その気概がなければ、いつまで経っても岡本の守備はダメなままですよ。
阿部にしても、いまさら戻ってきてほしくない。そんなことをしていたら、後継者などできやしません。水原(茂)監督にしても川上(哲治)監督にしても、新人一人レギュラーにするため命がけで教えた。
(阿部は)何億ももらっているのだから、シーズンを通して満足にプレーできなくなれば潔くユニフォームを脱ぐべき。それを促すのが高橋監督の仕事だと思う。十分なレベルでできなくなった時は、惜しまれながら去る。これが巨人軍の教えであり、巨人の野球なんです」
「昔の名前」で勝負していては、強い巨人は帰ってこないという箴言である。
※週刊ポスト2016年6月17日号