芸能

左とん平 脇役は腹八分がちょうどいい

キャリアの大半を脇役として過ごしてきた左とん平

 脇役として活躍することが多い俳優の左とん平は、最近では悪役も演じるようになっている。左が面白い悪役や、脇役として心がけていることについて語った言葉を、映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』からお届けする。

 * * *
 左とん平は1983年の今村昌平監督による映画『楢山節考』に出演、冬の雪山に籠っての長期間に及ぶ撮影に参加している。

「僕はあの監督と知り合ってよかった。というのは、今まで百本くらい映画に出てきたと思うんだけど、世間に認められたのはあの一本だけだから。

 山の中は面白かったね。部屋が僕と緒形拳と三木のり平さんと殿山泰司さんと小沢昭一さんが一緒だった。緒形とはその前から『おがっちゃん』『とんとん』と呼び合う間柄だったんだよ。

 みんな凄く酒を飲むんだ。それで遅くまで丁々発止。いろんな芸談からスケベ話まで。それである時、緒形がのり平さんに何か言って、のり平さんがカチンときちゃったんだ。のり平さん、一度へそを曲げちゃったらどうにもならない。

 それで何を言い出すかと思ったら、緒形に『君は監督の作品に売名行為で出てるのかい?』って。緒形は『そんなことないですよ』と言い返すんだけど、のり平さんも譲らない。で『いや、そうしか見えねえ』みたいに言ったら今度は緒形が『先に失礼します』って部屋を出て行って。そしたら、のり平さんが『バカ野郎!』って荒れて。なだめるのに苦労したことがある。

 のり平さんからすると、少しの役なのに出ているからね。それだけ今村監督に傾倒していたんだと思う。それは僕らも同じだよ。あの寒い山の中で何か月も耐えることができたのは、今村監督だからというのは間違いなくあった」

 近年では時代劇を中心に悪役も演じるようになっている。

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