国際情報

北朝鮮の外貨稼ぎ タンザニアで呪術師と結託して病院経営

ロシアは北朝鮮労働者の主要受け入れ先の一つ 共同通信社

 核やミサイルによる恫喝外交に周辺国の制裁も続く。窮余の金正恩王朝が命綱とする外貨獲得ビジネスは、アートから肉体労働まで実に幅広い。各国のニッチな需要を見事に掴む労働者たちは、独裁国家の延命のために日夜働かされている。ジャーナリストの李策氏が指摘する。

 * * *
 4月7日に発覚した、北朝鮮レストラン従業員の集団脱北事件。中国で働いていた北朝鮮の女性ら13人が一斉に逃げ出し、韓国に亡命したこの出来事は、北朝鮮の「外貨稼ぎ」に、ボディブローのようにダメージを与えると見られている。北朝鮮の外貨稼ぎに詳しい脱北者が話す。

「北朝鮮の政府機関や国営企業の多くは、海外で合法・非合法を問わず、様々な形で外貨稼ぎに励んでいます。非合法なビジネスは儲けも大きいが、現地当局に摘発されるリスクも高い。それに比べレストラン経営は安定した商売ができると人気だった。しかし今後は従業員の管理に神経質にならざるを得ず、徐々に下火になるでしょう」

 そもそも北朝鮮の機関や企業はなぜ、外貨稼ぎのサイドビジネスにかくも熱心なのか。理由のひとつは、国家の財政難のために、中央省庁を含む各機関が独立採算を余儀なくされているから。そしてもうひとつ、朝鮮労働党から課せられた「上納金」の重いノルマをクリアするためにも、独自の外貨稼ぎが必要なのだ。

 方法は実に様々だ。4月半ば、タンザニアの保健当局は、経済の中心地ダルエスサラームにある2つのクリニックに対して抜き打ち検査を行い、即時閉鎖を命令した。理由は、無認可営業。

 これらのクリニックは、実質的に北朝鮮から来た医師らが運営する「インチキ病院」だったのだ。その手法は、現地の呪術師らと結託して医療知識に乏しい患者を集め、怪しげな機器を使って適当な診断を行い、高額な薬を売りつけるという悪質なものだった。

※SAPIO2016年7月号

関連キーワード

トピックス

(左から)豊昇龍、大の里、琴櫻(時事通信フォト)
綱取りの大関・大の里 難敵となるのは豊昇龍・琴櫻よりも「外国出身平幕5人衆」か
週刊ポスト
セ・リーグを代表する主砲の明暗が分かれている(左、中央・時事通信フォト)
絶好調の巨人・岡本&阪神・サトテルと二軍落ちのヤクルト村上宗隆 何が明暗を分けたのか
週刊ポスト
過去のセクハラが報じられた石橋貴明
とんねるず・石橋貴明 恒例の人気特番が消滅危機のなか「がん闘病」を支える女性
週刊ポスト
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(写真は2019年)
《広末涼子逮捕のウラで…》元夫キャンドル氏が指摘した“プレッシャーで心が豹変” ファンクラブ会員の伸びは鈍化、“バトン”受け継いだ鳥羽氏は沈黙貫く
NEWSポストセブン
過去に共演経験のある俳優・國村隼(左/Getty Images)も今田美桜の魅力を語る(C)NHK連続テレビ小説「あんぱん」NHK総合 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
《生命力に溢れた人》好発進の朝ドラ『あんぱん』ヒロイン今田美桜の魅力を共演者・監督が証言 なぜ誰もが“応援したい”と口を揃えるのか
週刊ポスト
大谷翔平(左)異次元の活躍を支える妻・真美子さん(時事通信フォト)
《第一子出産直前にはゆったり服で》大谷翔平の妻・真美子さんの“最強妻”伝説 料理はプロ級で優しくて誠実な“愛されキャラ”
週刊ポスト
「すき家」のCMキャラクターを長年務める石原さとみ(右/時事通信フォト)
「すき家」ネズミ混入騒動前に石原さとみ出演CMに“異変” 広報担当が明かした“削除の理由”とは 新作CM「ナポリタン牛丼」で“復活”も
NEWSポストセブン
万博で活躍する藤原紀香(時事通信フォト)
《藤原紀香、着物姿で万博お出迎え》「シーンに合わせて着こなし変える」和装のこだわり、愛之助と迎えた晴れ舞台
NEWSポストセブン
川崎
“トリプルボギー不倫”川崎春花が復帰で「頑張れ!」と声援も そのウラで下部ツアー挑戦中の「妻」に異変
NEWSポストセブン
最後まで復活を信じていた
《海外メディアでも物議》八代亜紀さん“プライベート写真”付きCD発売がファンの多いブラジルで報道…レコード会社社長は「もう取材は受けられない」
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《“イケメン俳優が集まるバー”目撃談》田中圭と永野芽郁が酒席で見せた“2人の信頼関係”「酔った2人がじゃれ合いながらバーの玄関を開けて」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! ゴールデンウィーク大増ページ合併号
「週刊ポスト」本日発売! ゴールデンウィーク大増ページ合併号
NEWSポストセブン