参院選は与党vs野党の対決ばかりではない。東京、神奈川、愛知、大阪など定数が4以上の選挙区では、同じ政党の候補者が複数出馬。すると、党内では「最大の敵は味方だ」と激しい内ゲバが始まった──。
東京選挙区(改選6議席)で自民党は「2人当選」が目標。だが、その2人目の候補者選びが迷走した。有力とみられていた乙武洋匡氏がスキャンダルで出馬断念した後、党本部は公示日近くになってようやく身長2メートルの“大型新人”、元ビーチバレー五輪代表の朝日健太郎氏の擁立を決めた。
「よしッ、これなら勝てる」
妙な喜び方をしたのは同じ自民党の現職・中川雅治氏の陣営だ。
「うちは基礎票が頼み。2人目にビッグネームが出てくると、自民支持票をごっそり持って行かれるとハラハラしていた。朝日さんなら、知名度はそこそこなのでホッとした」(選対スタッフ)
2人の候補者の戦い方も厳然と分けられている。
「中川さんは地域の商工会などを回って組織・団体票を固める地上戦、それに対して落下傘候補の朝日さんは街頭演説で浮動票を狙う空中戦と決まっている。党の選対本部には、朝日さんには絶対に団体回りをさせないように申し入れている」(自民党東京都連幹部)
“俺のシマには一歩たりとも入れない”という厳しい掟なのだ。
※週刊ポスト2016年6月24日号