2016年は各ニュース番組でキャスターの降板が相次いだ。その裏には何らかの圧力があったとも言われているが、それはさておき、一体どんな人物がキャスターにふさわしいのだろうか? フジテレビ系『ニュースJAPAN』でキャスターを務めたのちに、2013年、フジテレビを退社。現在はウェブメディア『Japan In-depth』編集長で元フジテレビ解説委員などを務めた安倍宏行氏が、キャスター像を語る。
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代表的な夜のニュース番組といえば、『報道ステーション』、その前身は『ニュースステーション』でした。キャスターは久米宏さん、古舘伊知郎さんと来たわけですが、2人ともアナウンサー出身であって、ジャーナリストではありません。
ジャーナリストではないけれど、喋りがうまく人気のある人が高視聴率をたたき出すというスタイルが、この2つの番組でできあがってしまいました。でも、2人ともジャーナリストではないので、印象でものを言うことがある。それが視聴者をミスリードして、社会に大きな影響を与えてしまうことがありました。
私は、取材経験が豊富なジャーナリストがキャスターになるべきだと思っています。それは彼らが、どこに真実があるのか見極める能力を持ち、視聴者をミスリードしないからです。
あるものを白という人がいて、黒という人もいるなら、双方の意見を紹介して視聴者に判断してもらったらいいと思います。ゲストをスタジオに呼ぶにしても、片方の意見の人しか呼ばないのはフェアじゃないですし、キャスターが自分の意見を前面に出してしまうのも、放送法がある以上、違うのではないかと思います。
※女性セブン2016年6月23日号