認知症を患っていた人気アニメ『ドラえもん』(テレビ朝日系)の声優・大山のぶ代さん(82)を、夫で俳優の砂川啓介氏(79)が「老人ホームに入居させた」と告白し、議論を呼んでいる。
「我々は介護のプロではない」「むしろホームに入れないことで、自分の身体が先に壊れてしまう」といった声がある一方で、「絶対に入れたくない」と思う人もいる。ジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)は、施設のほうがサービスが良いことを理解しながらも、こう話す。
「結婚してからもう50年近く一緒にいるから、妻は自分の身体の一部とも言える存在です。だから私の身体が動いて、面倒を見られる限りは施設には入れません。もし反対の立場に立ったとき、妻も私を施設に入れることはしないでしょうね」
長い時間を共に生きてきたのだから、最後まで一緒にいたいというのも素直な気持ちだろう。取材を進めると、「どちらかが施設に入ったら“添い遂げた”という達成感が得られないような気がする」(60代・無職の男性)と話す人もいた。
人によっては、老人ホームに「向かない」場合もある。芸能界を代表するおしどり夫婦、林家ペー氏(74)は妻のパー子さん(67)に対して、こんな「心配」をしている。
「テレビでは明るく見えるかもしれないけど、ああ見えて、妻は極度の人見知りなんですよ。見知らぬ人がたくさんいるところに入れたら、おかしくなっちゃうと思う。そう考えると、入居させるのは切ないね」
老人ホームに入れたことで「認知症の進行が急激に進むケースが少なくない」と介護施設の関係者はいう。
「共同生活になじめない人は、食事もひとりで済ませて、他の入居者と一緒に歌を歌うなどのレクリエーションにも参加しようとしません。これではいくらサービスが行き届いていても、人と接する機会が減って、症状が悪化してしまいます」
※週刊ポスト2016年6月24日号