「アメリカ史上初めて、女性が主要政党の大統領候補者になります」
「我々は偉大な21世紀の次なる章を書き起こす」
民主党予備選の指名を確実にしたヒラリー・クリントン前国務長官(68)は7日、地元ニューヨークで高らかに勝利宣言した。これで11月の大統領選は、共和党候補のドナルド・トランプ氏(70)と事実上の一騎討ちになる。
「トランプ氏に大統領の資質はない」とヒラリー氏がいえば、トランプ氏は「彼女では最悪なオバマ政権を延長するだけ」と返すなど早くも本選に向けてヒートアップしているが、ヒラリー氏の敵はトランプ氏だけではない。ここに来て、“身内”の醜聞が次々と炸裂している。
勝利宣言の前日(6日)、夫であるビル・クリントン元大統領の弟(59)が、飲酒運転の疑いで逮捕。さらに今月28日には、ビル・クリントン大統領時代にホワイトハウスでSPを務めたゲイリー・J・バーン氏が、当時の内幕を暴露する書籍『クライシス・オブ・キャラクター』を出版する。
「詳細は明らかにされていないが、ヒラリー氏のリーダーシップに疑問を呈する記述が多く含まれている。たとえば、クリントン夫妻が大声で罵り合い、花瓶が割れる音が聞こえるほどの大ゲンカをした翌朝、ビル氏が目の周りに青あざを作っていたというヒラリー氏のDVを匂わすエピソードも書かれている」(在米ジャーナリスト)
ヒラリー氏がファーストレディーだったクリントン政権時代、夫はモニカ・ルインスキーとの不倫で窮地に陥ったが、今度の暴露本も初の女性大統領を目指すヒラリー氏の大打撃になりかねない。アメリカ政治に詳しい東洋英和女学院大学大学院国際協力研究科の中岡望・教授がいう。
「それ以外にも、ヒラリー氏には多くの火種がくすぶっている。クリントン財団を巡る『政治とカネ』の問題を追及したベストセラー『クリントン・キャッシュ』が映画化され、7月24日に全米公開される。国務長官時代に公務で私用メールを使っていた疑惑では、FBIによる捜査も始まっている。候補者指名を無事受けられるのかと懸念する声まである」
組織力・資金力ではトランプ陣営を圧倒するヒラリー氏だが、恐いのは“叩けば出るホコリ”か。
※週刊ポスト2016年6月24日号