ついに、都議会に辞職願を提出した舛添要一東京都知事(67才)。政治資金に関するいくつもの疑惑を追求されても、不信任案が可決される見込みになるまで、辞めるとは言わなかった。
「あの人は、最初から権力者になりたくて、人の上に立ちたくて、政治家になるために政治学者になったような人」
ビートたけし(69才)が都知事をこう揶揄しているように、それでも辞めようとしなかった最大の理由は都知事が持つ巨大な権力ゆえ。石原慎太郎氏(83才)、猪瀬直樹氏(69才)、そして舛添要一氏ら三代の都知事とその都政について取材してきた東京新聞都政キャップの石川修巳さんが説明する。
「東京都は47都道府県の1つであると同時に、日本の首都として非常に多くの企業の本社が集中し、税収も大きく、その予算は13兆円にも及びます。これはスウェーデンの国家予算に匹敵するほどです。都知事はその予算の舵取りをするので、他の行政のトップとは比較にならない幅広い政策を行い、また重責も伴います」
警察官や教職員を含めると、都知事の下には16万人もの部下がいる。その権限は、「日本の省庁3つ分」とも、「アメリカ大統領よりも大きい」ともいわれるほど。
ちなみに舛添氏が全額返上を申し出た都知事の給与は、月145万6000円。
「年収で2900万円。6月末に支払われる予定のボーナスは381万3992円です。ただし給与の返上は選挙区内では禁じられる“寄付”にあたるとされ、都知事が望んでも条例を改正しないかぎりは返上もできません。また4年の任期をまっとうすると支払われる退職金は約3600万円です」(石川さん)
騒動の発端は、毎週金曜日、午後2時の会見後に退庁し、別荘のある神奈川・湯河原へ、公用車で通っていたことが報じられたことだった。そういえば石原氏も、作家活動があったことなどから、週に2、3日しか登庁していなかったなどと批判されていたが…。
「選挙を通じて選ばれた都知事は、“特別職”と呼ばれる特殊な公務員です。国の政治家や財界人と公式・非公式に面会したり、都内各地の行事へ出席する仕事も多い。このため一般職の公務員が勤務時間や有給休暇に内規による定めがあるのに対し、特別職にはありません」(石川さん)
その日、その日のスケジュールによって登庁・退庁。残業時間など労働基準法なども適用されないため、年間の休日日数なども決まっていない。つまり自分の心ひとつで自由に休むことができる権限を持っているわけだ。
「盆暮れ正月も、知事自らの判断で休暇を取ります。プライベートで海外旅行に行くことも不可能ではないでしょうが、危機管理上、任地を離れることは批判を招くこともあります」(石川さん)
※女性セブン2016年6月30日号