株価が数倍に膨らむような大化け株にはどのような特徴があるのか。投資情報サイト「株式予報」代表・中原良太氏が、過去16年間の株式市場の膨大なデータを紐解き、大化け株に見られる共通項について解説する。
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私は2000年以降、日本株の毎日の全指数、全個別銘柄の株価や騰落率などの膨大なデータを蓄積し、分析している。いわば株式市場の“ビッグデータ解析”で、そこから株価が何倍にも膨らむ銘柄の共通点を見出すことができる。
2000年から2015年までの16年間(192か月)のデータを見ると、株価が10倍になった「テンバガー」銘柄は延べ298銘柄あった。平均すると、株価が10倍になる株が、毎月1~2銘柄ほど出現しているわけだ。年間平均では約18銘柄となる。
これを多いと見るか少ないと見るかは人それぞれだろう。では、株価が倍増する「2倍株」はどうか。過去16年間で延べ6624銘柄が出現している。平均すると1か月に34.5銘柄で、実に1日1銘柄は2倍株が出現している計算になる。
では、2000~2015年の間に株価が2倍超になった銘柄にはどんな特徴、共通項があるのか。一般的に株価が大幅に上昇する銘柄は、初動の段階で「出来高急増」と「直近高値更新」という2つの特徴が見られる。
株価が急進する銘柄には多くの投資家が集まり、商いが活発化する。それが「出来高急増」という形で現われる。
では「直近高値更新」で株価が上昇するのはなぜか。一般的に株価が大きく下落し、高値で掴んだ投資家が多く残っているような銘柄は、上値を追いにくい。「ここまで上がったら売ろう」と考えている投資家が多いからだ。しかし、過去の高値を更新するということは、そうした「戻り売り」をこなしている証拠。売り圧力がなくなれば、株価が大きく上がりやすくなる。
この傾向は過去のデータからも明らかだ。まず「出来高急増」。「出来高が25営業日の平均と比べて5倍以上に増えた銘柄が、翌日以降、1年以内に株価2倍になった確率」を4市場(東証1部、2部、ジャスダック、マザーズ)で調べてみた。
すると、出来高が急増した銘柄は延べ8万4352銘柄あり、そのうち1万539銘柄が2倍になっている。つまり、直近1か月と比べて出来高が5倍以上になった銘柄のうち、8.0銘柄に1銘柄(12.5%)が2倍になった計算だ。これをジャスダック市場に限定すれば13.6%、マザーズ市場なら29.9%が2倍になっている。
もう一つの「直近高値更新」はどうか。「250営業日の最高値を更新した銘柄が、翌日以降、250営業日以内に株価2倍になった確率」を調べてみたところ、4市場で高値を更新した3万6460銘柄のうち、5084銘柄あった。7.2銘柄に1銘柄(13.9%)が2倍株になっているということだ。さらにジャスダック市場に限定すれば17.8%、マザーズ市場なら33.9%になっている。
つまり、新興市場を中心に「出来高急増」と「直近高値更新」の両方を満たす銘柄を探せば、株価が2倍になる確率はグンと高まるといえるだろう。
※マネーポスト2016年夏号