6月13日に結婚を発表した優香(35才)。お相手は、現在、ドラマ『99.9』(TBS系)にも出演している青木崇高(36才)だ。青木はいったいどんな俳優なのか? 以前から取材していたコラムニストのペリー荻野さんが彼の秘話を綴る。
* * *
「優香結婚」の一報に、お笑い好きで知られる彼女のことだから、相手は芸人かと早とちりし、俳優の青木崇高だと知って「おや?」と思った人も多いのではないか。
青木といえば、朝ドラ『ちりとてちん』で、ヒロイン(貫地谷しほり)を悩ませ、笑わせる変わり者の落語家夫草々を演じて、お茶の間に親しまれた俳優だ。隣の部屋にいる彼女に告白するため、わざわざ壁を蹴破って現れるなど、「大声・もじゃもじゃ頭・ワイルド系」という異色の朝ドラ相手役男優であった。
大河ドラマ『龍馬伝』では、自由に生きる人気者の龍馬(福山雅治)を憎む土佐藩幹部の後藤象二郎。目を細め、暗い声で龍馬たちを追い詰める後藤は不気味だったが、撮影所で取材した印象は、まったく違って気さくでまじめな人柄だった。とにかく『龍馬伝』の現場が大好きで、自分のシーンがなくても、スタジオにいてみんなの演技を見学する日々。半ズボンに自転車ですいすい現れるという。日焼けした下級武士が多い『龍馬伝』の現場はとにかく「男子の部活」っぽい雰囲気。初時代劇で主役を張る福山から大ベテランの近藤正臣、田中泯まで、男たちが個性と持ち味をぶつける現場が、半ズボン青木は、とても好きだったのだろう。取材していて、彼が共演者やスタッフから好かれているのがよくわかった。聞けば、出世して貫録をつける後藤役のために、終盤は15kgも体重を増やしていたそうだが、気づかなかった…。
その後、『龍馬伝』の演出家だった大友啓史監督の映画『るろうに剣心』に出演。剣心(佐藤健)を助ける相楽佐之助を熱演した。またまたワイルド系で大暴れ。佐藤健も映画の敵役の香川照之も『龍馬伝』仲間。ここでも男たちの団結力を感じる。
そんな青木崇高が、突如として面白すぎる役で登場したのが、昨年の『ちかえもん』であった。このドラマは、超スランプ中の近松門左衛門(松尾スズキ)が、妙な飴を売り歩くお調子者の万吉(青木)に翻弄されつつ、名作『曽根崎心中』を書くまでを描く。近松はなぜか「書けてなーい」とか「胸キュンキュンしたわしやった」など現代語でつぶやき、『傘がない』、『学生街の喫茶店』など名曲の独自カバー(替え歌)を歌いだす。
第五話では松尾スズキが赤穂浪士の格好で『フランシーヌの場合』のメロディに乗せて、『赤穂浪士の場合』をゆるく歌い、後ろでは白装束の浪士たちが白扇を広げて舞い踊る。もう何がなんだかわからない。その近松が「胸キュンキュン」した相手が年増の遊女お袖(優香)だったのだ。
冒険的な『ちかえもん』は、いまどき珍しいハマる人はハマるとてつもなく面白いドラマだった。しかも、さんざんゲラゲラ笑っていたのに、最終回は青木演じる万吉の意外な正体がわかり、泣かされたのである。このドラマの面白さを共有したというだけで、優香と青木の趣味の一致がわかるというもの。公表された幸せそうなツーショットが、カップルというより、夫婦コンビに見えたのは、気のせいか? 「胸キュンキュンしたわし」は、近松でなく万吉だったというどんでん返しに、またびっくりである。