メディアアーティスト・落合陽一氏の新著『これからの世界をつくる仲間たちへ』が話題になっている。同氏は28歳という若さにして、世界最先端の研究者を選ぶ「米ワールド・テクノロジー・アワード」(2015、ITハードウェア部門)を、ノーベル賞の中村修二氏に続き日本人で2人目に受賞した人物だ。
生命保険という旧態依然とした業界に「ネット生保」という新たな形で挑戦し、注目されているライフネット生命社長の岩瀬大輔氏は、名門として知られる開成高校の先輩だという。新たな世界に挑む2人が、近未来の生命保険会社がどう変わっていくか、語り合った。
岩瀬:われわれ生命保険業界には、コンピュータやネットの進化をどう取り込めばいいと考えますか。当社はネット生保ですが、生命保険は一生に一度か二度の買い物だから、毎日見るものではなく、ネットとの親和性が他の業界に比べて低いのではないかという考えもあります。たとえば人工知能が発達すると、保険の営業職員は不要になるだろうという人もいますが、そんな時代がやってくると思いますか。
落合:あるときから、みんながネット保険に一気に移行する時期が来ると思います。その転機になるのは、昔ながらの生命保険セールスパーソンよりも人工知能のbot(注)のほうが話しやすい、と多くの人が感じるようになったときじゃないでしょうか。
(注/人間に代わって作業したり、やりとりしたりするプログラムの総称。たとえばツイッターでは、自分について書かれたツイートを自動的にリツイートしたり、特定の時間にツイートしたりするbotがある)