国内

キンプリ「応援上映」にOLたちがなぜ熱狂するのか

「KING OF PRISM by PrettyRhythm」公式サイトより (C)T-ARTS/syn Sophia/キングオブプリズム製作委員会

「キンプリ」(劇場版アニメ『KING OF PRISM by Pretty Rhythm』の通称、菱田正和監督)の勢いがとまらない。6月17日(金)にBlu-ray&DVDが発売、18日(土)に全国で4DX上映が始まる。今年1月にわずか14館でスタート、しかしSNSなどで人気が広がり、上映館はのべ100館を越えた。異例のロングランを記録し、動員人数は約36万人、興行収入は5月に約6億円を達成。

 10代の男の子たちがプリズムスタァを目指し、試練や困難に立ち向かっていくこのアニメ、人気を支えている一つが「応援上映」だ。

 そもそも「キンプリ」とは、2013年から2014年にかけて放送された女児向けTVアニメ『プリティーリズム・レインボーライブ』のスピンオフ作品である。男子プリズムスタァの3人組ユニット「Over The Rainbow(オーバー・ザ・レインボー)」を主役に据え、大人の女性をターゲットにした。プリズムスタァは、フィギュアスケートをモチーフに歌とダンスを融合させた斬新な「プリズムショー」を披露する。言わばスターを目指すアイドルたちの、歌あり踊りありの成長物語だ。

 この映画で行われている「応援上映」がいま大きな話題を集めている。応援上映とは、コスプレOK、サイリウムやペンライトの持ち込みOK、声を出してキャラクターたちを「応援」しながら観賞するスタイルで、観客はセリフに対して合いの手を入れたり、一緒に歌ったりするため、映画館は、さながらライブ会場と化す。

「応援上映」という観賞スタイルはこれまでにもあったが、「キンプリ」の特長は、客席からの応援を促すように映画が作られていることだ。観客がアフレコできるシーンが用意されていたり、キャラクターのセリフには一定の「間」が置かれたりと、「ここで応援してください」というようなお膳立てが随所に見られる。これらの工夫によって観客は気持ちよく応援できるようだ。

 実際にどのような「応援」を行っているのだろうか。6月某日、記者が映画館に足を運ぶと、本編上映前のCMや予告編からが応援が始まり、ちょっと驚く。エールフランス航空のCMでは、男女のキスシーンで<おめでとー>。制作企業や協賛企業が表示されると<○○(会社名が入る)ありがとー>。

 いざ本編が始まると、上映の約1時間、熱い応援が続いた。キャラクターが登場して自分の名前を言うと<いい名前ー!>。「君の苦手な食べ物はなんだい?」には<トマト!><セロリ!>と、思い思いの返事。「みんなに、言いたいことがあります!」という宣言には<なーにー?>。キャラクターにはそれぞれ推奨サイリウムカラーがあるようで、記者は慣れないサイリウムの切り替えに忙しかった。

 多くの観客が声や色をそろえる背景には、リピーターの存在がある。記者の隣の席に座った20代女性はこの日が10回目。会社帰りに一人で来ていて「皆がどこで何を言うか、全部覚えました、よろしければ教えますよ!」とにっこり。コアなファンたちは「プリズムエリート」と呼ばれ、全国に遠征するなどして応援上映を牽引してきたという。皆でそろっての応援は会場の一体感を高め、また来たいと思わせる効果を生んでいるようだ。

 とはいえ、応援方法に決まりがあるわけではない。カラーを合わせなければいけないというルールもない。終盤、電車が走るシーンでは、(キンプリとは関係ないが)<メーテルー>と叫ぶ男性が二人いた。一体感と同時に、各々が自由に楽しもうという雰囲気がある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
「スイートルームの会」は“業務” 中居正広氏の性暴力を「プライベートの問題」としたフジ幹部を一蹴した“判断基準”とは《ポイントは経費精算、権力格差、A氏の発言…他》
NEWSポストセブン
騒動があった焼肉きんぐ(同社HPより)
《食品レーンの横でゲロゲロ…》焼肉きんぐ広報部が回答「テーブルで30分嘔吐し続ける客を移動できなかった事情」と「レーン上の注文品に飛沫が飛んだ可能性への見解」
NEWSポストセブン
大手寿司チェーン「くら寿司」で迷惑行為となる画像がXで拡散された(時事通信フォト)
《善悪わからんくなる》「くら寿司」で“避妊具が皿の戻し口に…”の迷惑行為、Xで拡散 くら寿司広報担当は「対応を検討中」
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
【約4割がフジ社内ハラスメント経験】〈なぜこんな人が偉くなるのか〉とアンケート回答 加害者への“甘い処分”が招いた「相談窓口の機能不全」
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”4週連続欠場の川崎春花、悩ましい復帰タイミング もし「今年全休」でも「3年シード」で来季からツアー復帰可能
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
【被害女性Aさんが胸中告白】フジテレビ第三者委の調査結果にコメント「ほっとしたというのが正直な気持ち」「初めて知った事実も多い」
NEWSポストセブン
佳子さまと愛子さま(時事通信フォト)
「投稿範囲については検討中です」愛子さま、佳子さま人気でフォロワー急拡大“宮内庁のSNS展開”の今後 インスタに続きYouTubeチャンネルも開設、広報予算は10倍増
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ
「スイートルームで約38万円」「すし代で1万5235円」フジテレビ編成幹部の“経費精算”で判明した中居正広氏とX子さんの「業務上の関係」 
NEWSポストセブン
記者会見を行ったフジテレビ(時事通信フォト)
《中居正広氏の女性トラブル騒動》第三者委員会が報告書に克明に記したフジテレビの“置き去り体質” 10年前にも同様事例「ズボンと下着を脱ぎ、下半身を露出…」
NEWSポストセブン
「岡田ゆい」の名義で活動していた女性
《成人向け動画配信で7800万円脱税》40歳女性被告は「夫と離婚してホテル暮らし」…それでも配信業をやめられない理由「事件後も月収600万円」
NEWSポストセブン
昨年10月の近畿大会1回戦で滋賀学園に敗れ、6年ぶりに選抜出場を逃した大阪桐蔭ナイン(産経新聞社)
大阪桐蔭「一強」時代についに“翳り”が? 激戦区でライバルの大阪学院・辻盛監督、履正社の岡田元監督の評価「正直、怖さはないです」「これまで頭を越えていた打球が捕られたりも」
NEWSポストセブン
現在はニューヨークで生活を送る眞子さん
「サイズ選びにはちょっと違和感が…」小室眞子さん、渡米前後のファッションに大きな変化“ゆったりすぎるコート”を選んだ心変わり
NEWSポストセブン