首都圏の新築マンションの価格は3年連続の上昇となっている。その背景には何があるのか、不動産の市況調査を手がける東京カンテイ市場調査部の井出武・上席主任研究員が解説する。
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首都圏の新築マンションは物件の供給数は減少しているが、価格自体は上がっている。2015年の首都圏の新築マンション一戸平均価格は前年比11.4%増の5183万円に達し、3年連続で上昇した。
ミニバブル期の2008年(4662万円)の水準を超え、5000万円台突入を果たしたのは、昨年、高額所得者や投資家を対象にした「さらに高額な好立地物件」などが都心部で集中的に供給されたことが影響したと考えられる。
2015年の平均坪単価も前年比13.7%増の276.8万円と、ミニバブル期の状況と酷似している。エリア別にみると、対前年で上昇率も平均坪単価も最も高かったのは港区で、上昇率は73.5%、平均坪単価は664.5万円に上った。同区で一気に数字が跳ね上がったのは、供給量が少ない中、全戸が億ションの大型高額物件が売り出されたことによる。
2番目に平均坪単価が高かったのが千代田区で472.6万円(上昇率は前年比26.6%)。次いで渋谷区469.2万円(同12.7%)、品川区397.2万円(同37.5%)と続き、都心のブランド地区は一般庶民には手が出しにくい高価格水準を維持している。
一方、都下(23区を除いた市町村)では、価格の低下が目立った。吉祥寺を擁する武蔵野市の2015年の平均坪単価は前年比9.7%減の302.4万円、同じく人気エリアの三鷹市は同18.6%減の231.3万円だった。都下で最も下落率が大きかったのは立川市(同38.4%減の200.5万円)だったが、これには前年の価格が大型高額物件の供給によって例年より高くなっていたという事情がある。価格についてはエリアによって濃淡があるが、共通しているのは、やはり新築マンションの供給量が少ないことだろう
※マネーポスト2016年夏号