近代社会はゴミとともに歩んできた。その歴史の中でいつも注目されてきたのがプラスチックだ。プラスチックはダイオキシンを発生させるとして、問題視されてきたからだ。
昨年アメリカ・ハワイ州全体でプラスチック製のレジ袋の規制が始まった。スーパーにビニール袋を置かなくなった代わりにリサイクル可能な紙袋や布の袋を使用することになり、違反した店には罰金が科される。また、日本で見られるようなりんごの発泡スチロールのネットのような過剰包装もない。ヨーロッパではEU加盟国が環境破壊につながるビニール袋の使用削減に合意し、すでにエコバッグが浸透していたフランスでも、7月からスーパーでのビニール袋の配布が禁止される。
日本でもビニール袋の有料化や、エコバッグを持参すると割引を受けられるスーパーもある一方、東京23区では2008年からプラスチックが「燃やすゴミ」に変更された。ほかの自治体でもプラスチックは「燃やすゴミ」として扱われる傾向にある。『ルポ にっぽんのごみ』(岩波新書)の著者で、ジャーナリストの杉本裕明さんは言う。
「昔は焼却炉の性能が悪く、プラスチックを燃やすと焼却施設を傷めましたが、今の技術ではほぼクリアされています。また、分別してリサイクルするとコストがかかるし、プラスチックをそのまま埋め立てると埋め立て量が増えて処分場がいっぱいになってしまう。そこでプラスチックゴミを燃やすことになりました。
プラスチックのうちバケツやおもちゃ、CDなど容器包装以外のプラスチックは大半が燃やされています。ただ、ダイオキシンの発生は、1990年代後半からの規制強化で除去するフィルターを工場に取り付けることでかなり軽減されています」
世界ではプラスチックの使用そのものを減らす動きが加速するなか、日本はコスト重視で「燃やせばいい」とばかりの動きにシフトしている。安いに越したことはないが、違和感を禁じえない。
※女性セブン2016年6月30日号