この夏のボーナスは明暗がくっきり分かれた。大メディアは「過去3番目の高水準」と騒ぎ立てるが、本誌の有名企業100社調査からは、「高水準」の一言ではくくれないサラリーマンたちの悲喜の声、そして格差拡大という現実が浮かび上がってくる。
原油や鉄鉱石などの資源価格の急落で業界内の明暗がはっきり分かれたのが総合商社である。2016年3月期決算の純利益で三菱商事、三井物産を抜き去り、初めて業界トップに立ったのは「非資源」を強みとする伊藤忠商事。
「額は昨年とそんなに変わらないのですが、今年は特別ボーナスが出るんです」と話す20代社員はえびす顔だ。
「特別ボーナスは夏のボーナスと同時に全社員に支給されます。金額は年次や階級によって異なり、8年目以上の階級なら25万円くらい。
もらえる理由? もちろん三菱商事を超えて業界トップになったことですよ。『三井物産を超えても、三菱商事に負けたら特別ボーナスは出さない』と発破をかけられていたので、トップになれて本当に良かった」
対照的に、資源ビジネスに注力してきた三菱商事は、資源安のあおりを受けて2016年3月期は連結ベースで赤字に転落。1954年の発足以来、初めてのことだ。非資源部門の50代前半社員が嘆く。
「業績連動部分のボーナスが減りました。原因はもちろん資源部門の大赤字ですよ。彼らのおかげで業績が良かった過去もあるので、“お前らのせいだ!”とまではいいませんが……」
経済ジャーナリストの溝上憲文氏の話。
「商社のボーナスは業績連動で、黒字の時は10か月分(年間)といわれている。今回は創業以来の赤字ですから、三菱も三井も相当減るだろう」(両社の広報は社員のボーナス額について「非公表」と回答)
※週刊ポスト2016年7月1日号