東京都知事選挙を巡って各党は候補者選びに躍起になっている。民進党東京都連内では “本命”の蓮舫氏出馬に期待が高い。蓮舫氏の集票力は2014年の都知事選で舛添氏が獲得した211万票(次点の宇都宮健児・元日弁連会長は約98万票、3位の細川護熙・元首相は約96万票)に匹敵し、出馬となれば自公にとって最大の強敵になる。
では、民進党の蓮舫カードに対抗できる与党候補は誰になるのか──。
自民党の候補者選びは首相官邸、東京都連、そして“五輪村”と呼ばれる東京五輪組織委員会サイドなど複数のルートで行なわれている。
都連会長の石原伸晃・経済再生相は舛添氏の辞職表明当日に開かれた平沢勝栄・代議士のパーティで、後任都知事候補の条件として、「この人に2020年の東京五輪・パラリンピックを任せようという方を自民党、公明党一緒になって人選に入る」と語った。
人選を迷走させているのが“2人のドン”の存在だ。東京五輪組織委員会会長で“五輪のドン”森喜朗・元首相と“都議会のドン”と呼ばれる内田茂・元都議会議長である。都議の1人が語る。
「森さんに“この候補には五輪は任せられない”とへそを曲げられたら五輪準備が進まなくなる。伸晃さんが『五輪を任せようという方』という条件を出したのは森会長の意向を最大限配慮するという意味が込められている。
一方の内田都議は全国的には無名ながら、あの石原慎太郎知事時代から“影の知事”と呼ばれて都政に知事以上の力を持ち、伸晃さんも頭が上がらない。内田さんがNOといえば都議は選挙応援に動けないほどで、舛添知事がギリギリまで辞任したくないと粘ることができたのは内田さんを後ろ楯にしていたからです。この森―内田ラインが頷く候補でなければ事実上、知事選に擁立できない状況になっている」
本誌は6月10日号で官邸サイドが一時、小池百合子・元防衛相の都知事選擁立を検討しながら森氏との関係が悪いことがネックとなって、小池氏の擁立に待ったがかかっていると報じた。
小池氏は「森さんが小池擁立反対といわれている」という本誌の直撃に、「派閥のお作法や文化には疎く、非礼を重ねたと思います。森会長には厳しく、温かくご指導を賜っています」と答えていた。
※週刊ポスト2016年7月1日号