圧倒的な強さを見せ続ける福岡ソフトバンクホークス。同様に「巨大戦力」を誇るともいわれる巨人との交流戦での直接対決は「球界の盟主」の交代を強く印象づけた。6月10~12日のソフトバンク―巨人3連戦は、ソフトバンクの全勝。巨人は昨年の交流戦から同カード6連敗となった。
両チームの戦力に大きく影響しているのが「ケガ人の数」だ。
今季の巨人は阿部、内海哲也、マイコラス、杉内俊哉ら投打の柱をケガで欠いた。序盤を支えた立岡宗一郎、クルーズらも故障者リスト入りしている。一方、ソフトバンクは五十嵐亮太が左足の肉離れで戦列を離れてはいるが、主力選手の故障はほとんどなく、スタメンを固定できている。
「工藤監督が就任時にまずテーマに挙げたのは“故障防止”だった。徹底した体調管理で47歳まで現役を続け、筑波大大学院でトレーニング法を研究した彼ならではです。工藤監督は、アメリカでの指導経験もある鳥井田淳コンディショニングコーチらとトレーニングメニューを作成。さらに選手の筋肉量、骨量、体脂肪、水分などの体組織データまで完全に把握し、ケガ防止に努めているのです。
摂津正、バリオス、バンデンハークら各投手が一時登録抹消になったが、これらはケガではなく、それらのデータをもとに疲労回復を図るためでした」(ソフトバンク関係者)
データ管理は、実際のプレーにも役立てている。ソフトバンクでは現在「AIコーチ」と呼ばれるプロジェクトが進行中だ。
「(本拠地である)ヤフードームのバックネット裏には『トラックマン』というレーダーシステムを完備し、球種やボールの回転数、変化の仕方、打球の角度、方向をデータとして蓄積している。従来スコアラーがやっていた仕事を“科学の目”がやる。これは楽天やメジャーも導入しているシステムだが、ソフトバンクでは試合後ひとりひとりにカスタマイズされた指南書が届くようなシステムも計画されている」(同前)
※週刊ポスト2016年7月1日号