4月に燃費データ不正が発覚し、相川哲郎社長が引責辞任に追い込まれた三菱自動車工業。ボーナスは昨年と同じ年間5.5か月分だが、社員の表情は暗い。
「この夏は80万円くらいはもらえそうです。不正事件発覚前に決まっていた額が今年の夏と冬は支給されると聞いていますが、将来への不安は募る。大半を貯金して先々に備えます」(30代後半社員)
不正事件後には、“コストカッター”の異名を取るカルロス・ゴーン社長率いる日産自動車の事実上の傘下に入ったことも不安の種だ。
「勤続20年になりますが、こんなに危機感を感じたことはありません。ボーナスどころか、いつリストラされるかもわからない。
もちろん、もっと苦しいのは生産現場や地元の下請け部品会社の人たち。罪ほろぼしにもならないけれど、(三菱自動車の不正事件で生産停止に追い込まれた)水島製作所のある倉敷市に『ふるさと納税』するつもりです」(40代前半社員)
三菱自に続いて燃費データ不正問題が発覚した、スズキの社員たちも同様である。
「ボーナスだけでなく、小学生の息子が心配です。これまでは地元浜松では胸を張っていられたのに、今ではスズキというだけで悪者扱いされているみたいで……」(30代後半社員)
スズキも不正発覚前に0.2か月分のアップが決まっていたが、やはり社員からボーナス増を喜ぶ声は聞こえてこなかった。
※週刊ポスト2016年7月1日号