休み時間の校庭。職員室から大きな犬が駆けだしてくる。リードを手にしているのは小学生の女の子たち。思わず犬に引っ張られそうになった女の子が「マテ! マテよ!」と叫ぶ。
「マテなんて無理よ! だって私、元気がありあまってるんだもん!」
彼女の名前はベローナ。立教女学院小学校にとって3代目の学校犬だ。
「私は毎日学校に来て、みんなと楽しく過ごしているだけなんだけど、こういうのを“動物介在教育”っていうんだって」
動物介在教育とは、動物の世話をしたり触れ合ったりすることで豊かな心を育てるという教育方法のこと。この学校では6年生の希望者たちが、散歩や食事、ブラッシングなどの世話をしている。
「お世話係のことを、ここでは初代学校犬のバディにちなんで“バディ・ウォーカー”って呼ぶのよ。今年は72名のうち51名(71%)が手を挙げてくれたの。下級生たちには憧れの存在なんだって。2代目はバディの娘、リンク。先代の犬たちが亡くなったときはチャペルでお葬式をしたんだって。飼い主の吉田太郎先生は聖書の授業を担当。『学校に犬がいたら楽しいだろうな』と、今から13年前に学校犬をスタートしたのよ」
現在はベローナの他に、福島の被災犬ウィルとブレスの3頭で学校犬を務めている。犬たちは、子供たちの遊び相手であり、思いやりの心や責任感を育てる先生でもあるのだ。
「私たちと生活したことを、ずっとずっと覚えていてくれたら、それが私のいちばんのごほうびね」
エアデールテリアはテリアの中でもっとも大きく、「テリアの王様」と呼ばれている。硬い針金状のトップコートと柔らかいアンダーコートを持ち、抜け毛が少ないのも特徴。
【PROFILE】
名前:ベローナ ♀
年齢:1歳9か月
種類:犬(エアデールテリア)
勤務先:立教女学院小学校
職種:学校犬
主な仕事内容: 毎日学校に行って子供たちと一緒に過ごすこと。
お給料:おいしいごはんとオヤツ。広いグラウンドを走り回れるのは、学校犬だからこその特典かしら。
好きなこと:とにかく遊ぶこと!
嫌いなこと:おとなしくジッとしていること…。
現在の悩み:毎日ハッピーだから、特にないわ!
将来の夢:ベビーちゃんを産んでママになりたい
撮影■山口規子
※女性セブン2016年7月7日号