今や生涯のうち12人に1人がかかるといわれる乳がん。タレントの北斗晶(48才)は、1年に1回の検診を受けていたが検診では見つからず、自分で異常を感じて病院を受診。見つかった腫瘍は2cmと大きく、右乳房全摘手術と抗がん剤治療を受けた。一方で女優の南果歩(52才)は人間ドックを受診して異常が見つかり、2016年3月に早期の乳がんで手術を受けた。女優の生稲晃子(48才)は43才で乳がんにかかり、その後計5回の手術を受けて乳房を再建している。
そんななか歌舞伎俳優・市川海老蔵(38才)の妻でフリーアナウンサーの小林麻央(33才)が、1年8か月前から乳がんの治療を受けていたことがわかった。現在再入院して治療中の彼女と家族の闘いから、私たちは多くのことを気づかされる──。
一般的に、35才未満での乳がんは乳がん患者の3%に満たないといわれている。かまくら乳がんセンター長・土井卓子先生がその特徴を説明する。
「一般には45才から50才くらいに罹患率は高くなりますが、20代から30代前半でも乳がんにかかる人はいます。理由の大半は、このがんの成長が通常の乳がんより速いこと。たとえ発症する時期が普通の乳がんと同じでも、ゆっくり成長したものなら45才くらいで見つかるけれど、成長が速いとその分若くして見つかります。つまり、若年性がんは、通常のがんより進行が速いがんが多いのが特徴です」
海老蔵も会見でこう明かした。「かなりスピードが速く、なかなか大変なもの」と。
若く進行が速いということは、それだけがんの増殖も活発ということ。進行度合を表す「ステージ」とは別に増殖が活発か、それともおとなしいのかを示す4つのタイプがある。
【乳がんの4タイプ】
・ルミナルAタイプ(ホルモン受容体陽性、HER2陰性)
・ルミナルBタイプ(ホルモン受容体陽性、HER2陽性)
・トリプルネガティブ(ホルモン受容体陰性、HER2陰性)
・HER2陽性(ホルモン受容体陰性、HER2陽性)
「乳がんになる人の6~7割は、女性ホルモンによって成長するホルモン受容体が陽性で、がん細胞にあるたんぱく質HER2が陰性の『ルミナルAタイプ』です。ホルモン受容体陽性の乳がんは、女性ホルモンで成長するタイプで、女性ホルモンの働きを抑えるホルモン療法が効果的です。一方、HER2陽性のタイプには、がん細胞の表面にあるたんぱく質や遺伝子を集中的に攻撃する抗がん剤、分子標的薬が有効です」(土井先生)
ホルモン受容体もHER2も陰性のトリプルネガティブの場合、乳がんに効果的なホルモン療法と分子標的薬の治療効果が期待できない。そのため治療方法が抗がん剤に限定され、通常のがんよりも再発しやすい特徴がある。
夫婦の闘病生活を『112日間のママ』(小学館)に綴った読売テレビの清水健アナウンサー(40才)。昨年亡くなった妻の奈緒さん(享年29)はトリプルネガティブの乳がんだった。手術をしたとしても再発率50%といわれる中、奈緒さんは手術と抗がん剤を経て出産した。
「若年性乳がんには、HER2陽性やトリプルネガティブの乳がんが多いのも特徴です」(土井先生)
※女性セブン2016年7月7日号